宮崎県宮崎市の中心部に「橘通3丁目」という交差点がある。国道10号と国道220号が交差する。この交差点から南、大淀川河畔に至る辺りが宮崎市の中心部である。暑さの盛りの八月、宮崎市街を訪ねた。
宮崎県宮崎市、その鉄路の玄関口がJR日豊本線の宮崎駅である。宮崎駅を西口に出ると、高千穂通り(県道25号宮崎停車場線)が真っ直ぐに西へ延びている。高千穂通りを駅前の交差点から700mほど進んだところに大きな交差点がある。「橘通3丁目」交差点だ。この交差点で高千穂通りは国道10号と国道220号に交差する。国道10号は交差点から北と西へ延び、国道220号はこの交差点を起点として南へ延びる。
「橘通3丁目」交差点をほぼ中心として、ここから北は江平五叉路まで850mほどの区間の国道10号と、南は「市役所前」交差点までの900mほどの区間の国道220号を合わせて、「橘通り」と呼ぶ。通りの名の「橘」は「市役所前」交差点の南で国道220号が大淀川を跨ぐ橘橋に由来する。この「橘通り」のうち、特に「橘通3丁目」交差点から「市役所前」交差点に至る部分の周辺が、宮崎市の中心部である。
「橘通3丁目」交差点の南側の橘通沿いは宮崎の商業の中心と言っていい。歩道にアーケードが設けられ、中央分離帯にワシントン椰子が並ぶ。いかにも宮崎のメインストリートといった佇まいである。「橘通3丁目」交差点の南東側の角には鹿児島が本店のデパート「山形屋」が建ち、その向かい、交差点の南西側の角には「BonBelta橘」という商業ビルが建っている。さらにそこから橘通りに沿って店舗や商業ビルが建ち並ぶ。
余談だが、「BonBelta橘」はかつて「橘百貨店」というデパートだった。1975年(昭和50年)に倒産するまで、宮崎山形屋と橘百貨店の二つのデパートが宮崎の商業の中心だった。倒産した橘百貨店はイオングループの資本によって再生を図ったが、成功したとは言えず、2007年(平成19年)にイオングループから離脱、現在は地元資本によって運営されている。
「橘通3丁目」交差点は、まさに“宮崎の中心”の象徴的交差点と言っていいが、実は「橘通3丁目」という町名は存在しない。「橘通3丁目」交差点の南西側、すなわち宮崎山形屋の建っているところは「橘通東3丁目」、「橘通3丁目」交差点の南東側、BonBelta橘の建っているところは「橘通西3丁目」である。同様に「橘通3丁目」交差点の北東側は「橘通東4丁目」、北西側は「橘通西4丁目」である。存在しない町名が、あたかも存在するかのように交差点の名となっているのがおもしろい。
「橘通西3丁目」の西側には「中央通1丁目」から「中央通3丁目」が南北に並び、さらにその西側に「中央通4丁目」から「中央通8丁目」が南北に並ぶ。この、橘通西3丁目から中央通○丁目にかけて広がる町が、宮崎市街でも特に繁華なところで、東西に延びる「一番街」を中心に、南北に抜けて「一番街」と交差する「サンバレー通り」、「サンサン通り」、「西橘通り」、「中央通り」といった通り沿いに数多くの飲食店が建ち並ぶ。この辺りを「ニシタチ」と通称する。特に夜になればたいへんな賑わいを見せるところである。
橘通りの東側、「橘通東3丁目」の周辺は「ニシタチ」に比べれば静かだが、それでも「若草通り」を中心にさまざまな店舗が建ち並んでいる。ちなみに、チキン南蛮で有名な「味のおぐら 本店」は、山形屋の南側、細い路地脇に建っている。地元の人には昔から親しまれている店だが、観光に訪れた人も一度は立ち寄っておきたい、名店である。
橘通りを南へ辿ってゆけば、「橘通3丁目」交差点から700mほどで「県庁前」交差点、東へクスノキ並木となった通りが延び、この通り沿いに宮崎県庁がある。「県庁前」交差点からさらに200mほど南には「市役所前」交差点があり、交差点の南西側、大淀川の河岸に宮崎市役所が建っている。要するに、この辺りが宮崎の行政の中心である。
観光で宮崎を訪れた際には、この橘通り周辺を歩いてみることをお勧めする。特に日が暮れてからの時刻、「ニシタチ」を歩いて夕食の店などを探してみるといい。少し猥雑な雰囲気の「ニシタチ」だが、郷土料理を提供してくれる店もある。町歩き趣味の人にはお勧めである。
「橘通3丁目」交差点はJR日豊本線宮崎駅から西へ、高千穂通りを歩いて1km弱、15分ほどだ。
宮崎空港から宮崎市街中心部へ向かう場合はJR宮崎空港線やバス路線を使えばいい。
遠方から車で宮崎市街中心部へ向かう場合は宮ア自動車道宮崎ICから国道220号を北上、5kmほどだが、途中、渋滞することが多いので所要時間は余裕を持って考えた方がいい。
橘通東3丁目から橘通東2丁目、橘通西3丁目、橘通西2丁目、中央通周辺は宮崎市街で最も繁華なところだ。数多くの飲食店がある。
「橘通3丁目」交差点から橘通りを1kmほど南に下れば大淀川、通りの名の由来となった「橘橋」が大淀川を跨いで国道220号を通している。橋の袂から下流側、河岸には
橘公園
が設けられている。フェニックスの並木が美しく、宮崎らしい風景が楽しめる。
「橘通3丁目」交差点から国道10号(江平通り)を1kmほど北へ進んで左へ逸れて進むと
宮崎神宮
が鎮座している。神武天皇を祀る神社だ。宮崎観光では必ず参拝しておきたい。宮崎神宮の境内地内、北側には
宮崎県総合博物館
が建っており、庭園部分は民家園になっている。宮崎県内各所の古民家が保存展示されている。宮崎神宮の南西側には宮崎県総合文化公園があり、宮崎県立美術館が建っている。宮崎神宮の北西側には宮崎県立平和台公園がある。はにわ園を見学していこう。
「橘通3丁目」交差点から一ツ葉通りや北権現通りなどを経由して東へ5kmほど辿れば海岸部、みやざき臨海公園がある。マリーナや海水浴場があり、風景も美しい。
橘公園
宮崎神宮
宮崎県総合博物館