埼玉県入間市を霞川という河川が流れている。中心市街近くには河岸に桜が多く植えられたところがあり、「霞川の桜堤」として知られている。桜がそろそろ見頃を過ぎようかという頃、霞川の桜堤を訪ねた。
埼玉県入間市のほぼ中央部を霞川という河川が東西に流れている。東京都青梅市を源流とし、入間市へと流れ、狭山市で入間川に注いでいる。そのうち、入間市中心市街の西方を流れる辺り、河岸に桜が植えられ、「霞川の桜堤」と呼ばれて入間市の桜の名所として知られている。河岸に咲き誇る桜と霞川とが織り成す風景は美しく、春の花見散歩に好適なところだ。
「霞川の桜堤」があるのは、ちょうど霞川が入間市豊岡と高倉一丁目との間を流れる辺りだ。上流川は豊高橋付近から下流側は大和橋の辺りまで、1kmほどの区間、河岸に100本ほどの桜が植えられている。その区間の下流側、新霞橋から大和橋の間は河岸に沿って歩けない部分もあり、国道16号や国道299号が霞川を跨いでいることもあって、散策には好適とは言えない。やはり上流側、豊高橋から新霞橋との間の辺りが花見散歩に向いている印象だ。
豊高橋(豊岡と高倉を繋ぐから豊高橋なのだろう)から下流側を見れば、霞川の両岸に咲く桜が視界に収まる。霞川は緩やかに曲がり、川原には流れてきてそのまま根付いたらしい菜の花が黄色い花を咲かせてる。美しい春景色だ。その向こうには市街地に建ち並ぶ建物が見えているが、それもまたひとつの興趣というものだろう。
豊高橋下流側の右岸側は一般道で、河川側に設けられた歩道に桜が立っている。というより、先に河岸に桜があって、そこを歩道に整備したものだろう。桜はどれも大きく枝を張って見事な姿だ。桜の下に立って、桜越しに見る霞川の風景も美しい。
豊高橋下流側の左岸側は緑地帯が整備されており、そこを遊歩道が辿っている。豊岡橋近くの辺りは豊高橋公園という、面積550平方メートルほどの公園になっているようだが、どこからどこまでが公園の範囲なのかも判然としない。広場にはシートを広げてお花見を楽しむ人たちの姿もある。散策を楽しむ人の姿もあるが、一般的な桜の名所の賑わいとは無縁の静かさだ。
河岸を辿る道から川原に降りることのできる場所もある。川原に降りれば視点は低くなり、河岸の桜並木も違った表情を見せる。川原から見上げるように眺める桜並木がとても美しい。川原に咲き誇る菜の花もいい。
霞川が緩やかな弧を描いて流れていく辺りの景観も素晴らしい。河岸の桜は大きく枝を張って頭上を覆い、対岸にも大きな桜が咲き誇っている。河岸の道は上下に二段になっていて、ほんの少し高低差があるだけだが、それぞれ景観の表情が変わって楽しい。
豊高橋から河岸の道を500mほど辿れば新霞橋だ。新霞橋の上からの眺めもなかなかいい。上流側を眺めれば河岸の桜が逆光の中に浮かび、下流側を眺めれば左岸側の並んだ桜が日の光を浴びて輝いている。のんびりとして春の風景だ。
「霞川の桜堤」は入間市の「景観50選」のひとつであり、市内の桜の名所の一つだが、お花見に訪れる人は少ない。花見を兼ねた散歩を楽しむ人たちの姿もあるが、おそらく地元の人たちなのだろう。それだけに喧噪感はまったく感じられず、のんびりと穏やかな時間を過ごすことができる。人混みを避けて静かに桜を楽しみたい人にはお勧めの場所だと言っていい。
霞川の桜堤は西武池袋線入間市駅から近い。南口から新霞橋まで数百メートル、歩いても10分足らずだ。
車で来訪する際には駅周辺のコインパーキングなどを利用しよう。遠方から車で訪れる場合は、圏央道狭山日高ICや入間ICを利用すると便利だ。狭山日高ICからも入間ICからも入間市駅周辺まで約4.5kmの距離だ。
霞川の河岸には飲食店などはない。食事は入間市の市街地に戻って楽しもう。
お天気に恵まれれば、お弁当などを持って河岸の広場にシートを広げ、お花見ランチを楽しむのもお勧めだ。
入間市の中心市街から1kmほど東へ辿れば
埼玉県営彩の森入間公園
がある。緑豊かな公園で、春は桜が美しい。公園の南側には「ジョンソンタウン」と呼ばれる一角がある。かつての米軍ハウスが残り、アメリカンな雰囲気が人気だ。町歩きの好きな人にはお勧めだ。
彩の森入間公園から航空自衛隊入間基地の西側を回り込んで北へ、1.5kmほど歩けば
埼玉県営狭山稲荷山公園
がある。
狭山稲荷山公園も桜の美しい公園
だ。桜の季節には訪ねておきたい。
霞川の桜堤(入間市)
彩の森入間公園
桜咲く彩の森入間公園
狭山稲荷山公園
桜咲く狭山稲荷山公園