埼玉県狭山市の県営狭山稲荷山公園はかつての米軍ジョンソン基地の跡地を利用して造られたものだ。公園は樹林地と広場とによって構成され、緑濃い風景の中に散策路が辿って穏やかな表情を見せる。その公園内、特に南側から東側にかけて桜が多く植えられており、花見の名所として広く知られている。どの桜も大きく育って枝を張り、咲き誇る様子は圧巻の見事さだ。毎年、桜が見頃の週末には大勢の花見客で賑わっている。
狭山稲荷山公園が桜色に染まる季節、その中心になるのは西武池袋線稲荷山公園駅に近い正門の周辺だろう。園路沿いに大きな桜が並び、素晴らしい景観だ。公園東側、道路脇の広場も大きな桜が見事だ。実はこの広場の辺りは狭山稲荷山公園の区域外で、狭山市の管理下にあるようだが、利用者側としては管理の違いを意識することはない。お花見ランチを楽しむ人たちの多いところだ。
桜は広い園内の随所で咲いている。園内をのんびりと巡ればさまざまに美しい景観に出会う。狭山稲荷山公園は園内が緩やかな起伏を伴っており、それが桜の景色に変化と表情を与え、園路を辿ってゆけばその表情の変化が楽しい。園内の景観そのものが美しいから見栄えも良く、それぞれにフォトジェニックで、さらに違った景色を求めて園内を巡ってみたくなる。
桜はほとんどがソメイヨシノのようだが、オオシマザクラやヤマザクラらしい木もあって景観のアクセントになっている。遅咲きの八重桜など、今度もさまざまな品種の桜を植栽していく予定だそうで、時を経れば春の景観も変わるかもしれない。
今回訪れたのはそろそろ桜の盛りも過ぎようとしている時期、風が吹く度に花弁がはらはらと舞い、広場や園路を薄紅色に染め上げていた。この時期の桜も独特の風情があって良いものだ。
お天気に恵まれた週末、おそらく今シーズン最後の花見のチャンスとあって、公園は大勢の花見客で賑わっている。ほとんどは家族連れのようだが、友人同士のグループらしい姿もある。それぞれに桜の下にシートを広げ、桜の景色を楽しみながらのランチタイムを楽しんでいる。そうした愉しみ方の似合う公園だと言っていい。
園内の穏やかな空気感はお花見を兼ねた春の行楽には最適と言ってよく、まさに「花見の名所」の形容に恥じない。園内をのんびりと巡って桜の咲く公園風景を楽しみ、それから場所を見つけて桜の下でのランチタイムを楽しむのがお勧めだ。お弁当とシートの持参は必須、のんびりと春爛漫の一日を過ごせる。