東京都青梅市、青梅駅の南方、多摩川の右岸に「釜の淵公園」という公園がある。大きく蛇行する多摩川の岸辺に造られた公園で、夏は川遊びの人たちで賑わう。夏の盛りの七月下旬、釜の淵公園を訪ねた。
釜の淵公園の河原で川遊びやバーベキューを楽しむ際には、しっかりとマナーを守ろう。
●ゴミは持ち帰る
釜の淵公園にはゴミ箱が設置されていない。ゴミは持ち帰りが原則。持ち込んだ物はすべて持ち帰ろう。
●直火は禁止
地面の上で直接火を焚くのは禁止だ。バーベキューや焚き火を楽しむ際にはコンロや焚き火台などの器具を持参しよう。余った炭などもすべて持ち帰ろう。
マナー違反行為は地元の方々に多大なご迷惑をかける。放置されたゴミを拾い集め片付けるのは、地元のボランティアの方々だ。来たときより綺麗にして帰ることを心がけて利用しよう。
東京都青梅市の「釜の淵公園」は多摩川河岸の立地で、川遊びのできる公園として親しまれている。河原はバーベキューを楽しむ人たちで賑わう。その「釜の淵公園」は実は桜の名所でもある。桜の数は特筆するほど多くはないが、河岸を彩る桜並木の美しさは素晴らしいもので、“名所”の名に恥じない。都心から距離があるためか、花見客はそれほど多くはないが、それ故にかえってのんびりと花見を楽しむには絶好の場所だと言っていい。
「釜の淵公園」の桜は西側の多摩川左岸部、青梅市の市営プール(休場中)や駐車場が設けられている付近と、東側の多摩川右岸部、芝生広場や郷土博物館などの設けられているエリアの河岸部で見ることができる。どちらも河岸に沿った並木になっていて、多摩川の流れとの取り合わせが風趣に富んだ景観を見せる。
のんびりと桜の下を散策するのもいいし、柳淵(りゅうえん)橋や鮎美(あゆみ)橋の上から、あるいは対岸から眺めるのもいい。河岸を辿って花見散歩を楽しんだら、芝生広場や河原にレジャーシートを広げ、桜の景観を楽しみながらゆっくりとランチタイムを過ごすのがお勧めだ。
「釜の淵公園」の西側、多摩川を跨いで柳淵(りゅうえん)橋という橋が架けられている。橋の西側、多摩川の左岸側は青梅市の釜の淵公園水泳場(平成23年度から休場中)や駐車場などが設けられているが、その河岸部や水泳場周辺に桜が並んでいる。数はそれほど多くはないが、なかなかの古木のようで、大きく枝を張って咲き誇る姿は見事なものだ。
駐車場内からもその美しさを満喫できるが、河岸を辿って桜並木の下を歩いてみたり、河原に降りて河岸に並ぶ桜を見上げてみたり、あるいは柳淵橋の上から少し離れて眺めてみたり、それぞれに春爛漫の美しさを堪能できる。
特に河原から見る眺めは素晴らしく、新緑の芽吹き始めた柳や美しい意匠の柳淵橋と共に桜並木が視界に広がる景観は実に美しいものだ。春の青空の下、気分が晴々とする風景だと言っていい。訪れた際にはぜひ河原に降りて、その景観を楽しんでおきたい。
もちろん柳淵橋の上からの眺めも美しい。間近に咲き誇る桜と大きく蛇行する多摩川の姿や河岸の木々が一緒に視界に収まり、風趣に富んだ景観を織り成している。上流側の眺めも下流側の眺めもそれぞれに美しい。じっくりと時間をかけて楽しみたい眺めだ。
柳淵橋を渡って対岸から眺めるのもお勧めだ。柳淵橋の袂、右岸の下流側の河原から眺めれば、お昼過ぎには逆光の中に対岸の桜並木が見える。多摩川の流れが日差しを弾いて、その向こうに桜並木が延びる。見事な春景色である。
「釜の淵公園」の東側では鮎美(あゆみ)橋が多摩川を跨いでいる。その鮎美橋の袂を中心に、多摩川右岸に桜並木が延びる。こちらの桜並木は西側のものに比べて桜の本数が多く、素晴らしい景観だ。
河岸に沿った園路を辿れば頭上には桜が咲き誇る。園路脇は芝生広場になっているから、シートを広げて花見を楽しむ人の姿も多い。広場から眺めれば桜の向こうに多摩川の流れが見え、風趣に富んだ景観を織り成している。鮎美橋は美しいデザインの斜張橋で、桜の向こうにその姿が見え隠れするのも素敵だ。
鮎美橋の上から見る河岸の桜並木も素晴らしい。河岸近くに立って近くから遠くへと延びてゆく桜並木を見るのも美しいし、河岸から離れて桜並木を見下ろすように眺めるのも美しい。上流側に視線を向ければ、桜並木の河岸の下には河原が広がり、その外側に多摩川の流れがある。河原には子どもたちの遊ぶ姿などもあって、春の休日らしい景観だ。下流側の桜並木はさらに見事で、日差しを弾く多摩川の流れや河岸の木々と風趣に富んだ景観を織り成している。
鮎美橋の上流側は、多摩川が描く大きな蛇行の内側に広い河原が生じている。河原に降りて水際の散策を楽しむのもお勧めだ。河原から見る河岸の桜並木もまた素晴らしい。春の青空を背景に、日差しを浴びて輝く桜並木はためいきが出るほどの美しさだ。
桜並木の下のそぞろ歩きを楽しんだり、鮎美橋の上から見下ろすように桜並木を眺めたり、河原から桜並木を見上げたり、さまざまな表情を楽しんでおきたい。それぞれに見事な春景色が楽しめる。桜の木の数では特筆するほど多いわけではないが、“桜の咲く風景”としての美しさは見事なものだ。多摩川の流れの美しさと相俟って、その景観はまさに“名所”と呼ぶべきものと言っていい。
桜が見頃を迎える頃、園内の樹林地では木々が芽吹きの時期を迎える。春の日差しが落ちる林が瑞々しい新緑に彩られている。花見に訪れたときには、新緑の林の中の散策もぜひ楽しんでおこう。
「釜の淵公園」は河岸という立地が奏効し、花見を兼ねた春の行楽には好適なところだと言っていい。のんびりと花見散歩を楽しむにもよく、桜を愛でながら“青空ランチ”を楽しむのもいい。お弁当とレジャーシートを持って出かけるのがお勧めだ。家族連れや友人同士のグループなどで出かけるにもお勧めだが、一人でふらりと訪ねてももちろん楽しめる。お勧めである。
本欄の内容は釜の淵公園関連ページ共通です
夏の釜の淵公園は川遊びの人たちで賑わい、泳いでいる人も少なくないが、公園にはシャワーや更衣室などの設備は無い。相応の準備をして出かけよう。
釜の淵公園はJR青梅線青梅駅から徒歩で20分ほどだろうか。公園は多摩川の右岸側だから、青梅市街地からは橋を渡らなくてはならない。公園の東側に「鮎美橋」、西側には「柳淵橋」が架かっている。どちらも主要道から脇道に入り込まなくてはならないので初めて訪れる人には少しばかりわかりにくいかもしれない。
車で来訪する場合には多摩川南側を通る国道414号(吉野街道)から「かんぽの宿青梅」を目指して多摩川側に入り込んでゆくと、「かんぽの宿青梅」の奥に公園用駐車場が設けられている。無料駐車場だが駐車スペースが数台分と少なく、休日などには満車状態が続く。青梅市街側からなら、釜の淵公園の西側、多摩川の左岸に有料駐車場が設けられている。こちらもそれほど大きな駐車場ではないが、「かんぽの宿青梅」横の駐車場より余裕がある。すぐ横が柳淵橋だから公園に向かうのも便利だ。あるいは青梅駅周辺に点在する民間の有料駐車場を利用してもいい。
公園内には飲食店や売店などはない。のんびりとお昼時を公園で過ごすのならお弁当持参がいい。川風に吹かれながらのランチタイムはとても気分がいい。青梅駅周辺には飲食店が点在しているから、お弁当持参でない場合はそれらを利用するといい。
行楽シーズンになると河原でバーベキューを楽しむ人の姿も多い。ただし釜の淵公園の河原は「バーベキュー場」として整備されているわけではなく、用具の貸出や食材の販売はもちろん、バーベキュー用の設備なども一切無い。青梅市でも特に管理していないようで、要するに“禁止されてはいない”という程度のようだ。バーベキューを楽しむ人たちは皆、それぞれに用具と食材を持ち込んで楽しんでいる。釜の淵公園でバーベキューを楽しむときには用具や食材をすべて準備しておこう。「直火は禁止」ということになっているので、相応の器具が必要だ。そしてもちろんきちんと後始末を行うなど、マナーをしっかり守ろう。利用者のマナーが良くないと釜の淵公園でのバーベキューが禁止されてしまうかもしれない。
青梅駅周辺にはたいへんに見所が多い。駅前から青梅街道を西へ辿ると道脇には旧稲葉家住宅などが建ち、古い宿場町の雰囲気を堪能できる。また“青梅”の地名の由来となった梅の木があるという金剛寺など、寺社も多い。駅の東南側、住江町には「昭和レトロ商品博物館」や「赤塚不二夫会館」などがあり、
町全体が“昭和レトロ”な佇まい
で、散策は楽しい。青梅駅北側は丘陵地で、ハイキングコースも整備されているようだ。
青梅市観光協会
釜の淵公園
青梅 昭和の猫町
青梅 映画看板のある町
●ゴミは持ち帰る
釜の淵公園にはゴミ箱が設置されていない。ゴミは持ち帰りが原則。持ち込んだ物はすべて持ち帰ろう。
●直火は禁止
地面の上で直接火を焚くのは禁止だ。バーベキューや焚き火を楽しむ際にはコンロや焚き火台などの器具を持参しよう。余った炭などもすべて持ち帰ろう。
マナー違反行為は地元の方々に多大なご迷惑をかける。放置されたゴミを拾い集め片付けるのは、地元のボランティアの方々だ。来たときより綺麗にして帰ることを心がけて利用しよう。