大堂津駅から150mほど国道を南へ辿ると、東へ入り込む横道がある。道は日南線の線路を踏切で越えて、その先は
大堂津海水浴場だ。踏切は「海水浴場踏切」という。何とも単純明快な名である。“国道から海水浴場へ至る道の途中に踏切がある”というより、踏切を越えれば、そこはすでに海水浴場で、すぐ横手には休憩棟が建っている。踏切を渡るときから眼前には海と沖合に浮かぶ大島や「七ツ八重」の島影が見えている。
踏切のある道は、大堂津の町から海水浴場へ行くための、ほぼ唯一の道であり、踏切の西側、国道沿いには海水浴客のための駐車場が用意されていることもあって、「海水浴場踏切」は
大堂津海水浴場へのエントランスのような役目を果たしていると言っていい。海水浴シーズンには大勢の海水浴客がこの踏切を行き来する。海水浴客用の駐車場は駐車料金一回200円(2015年現在)、通常は係員が居て駐車料金を徴収しているが、夕方近くになると係員の姿はなく、「管理棟で駐車料金をお支払いください」との旨の案内がある。のどかなものである。
踏切は
大堂津駅から近く、踏切を渡りながら北方向を見れば駅の様子がよく見える。日南線は上りも下りも一時間に1本あるかどうかという便数だが、夕方5時前後には比較的便数が多く、大堂津駅を発着する列車が「海水浴場踏切」を通り過ぎてゆく姿を見ることができる。普段は便数の少ない日南線が比較的頻繁に行き来する時刻になれば、そろそろ海から上がって家に帰る頃合いである。