日南海岸風景
大堂津海水浴場
大堂津海水浴場
大堂津の駅前から少しばかり南へ歩き、郵便局の前の踏切を渡ると大堂津海水浴場だ。北側には猪崎鼻が、南側には虚空蔵島が海に張り出し、沖には大島があり、それらに囲まれた入り江であるために普段は波も穏やかだ。昔は地元の商店の営む「海の家」があるだけの素朴な海水浴場だったが、現在では整然と整備され、洒落た外観のビーチハウスが建ち、小さな子どもたちのためのプールまである。

緩やかな弧を描く砂浜と緑の松林、沖合いに浮かぶ島々など、周囲の景観はとても美しいのだが、そうしたことが語られることは少ないような気がする。海水浴場としての設備も整っているのに、日南海岸の観光スポットとして紹介されることも少ない。ちょっと寂しく感じたりもするが、いつまでも地元の人たちのための海水浴場としてひっそりとした雰囲気を保って欲しい気もしないではない。
大堂津海水浴場
大堂津海水浴場
ビーチハウスは白い外観の現代的なものだが、基本的には昔ながらの「海の家」だ。二階部分は休憩所になっていてお昼時には家族連れがお弁当を広げていたりする。一階部分には地元の商店が入っていて、浮き袋の貸し出しや軽食などを商っている。軽食のメニューはうどんやラーメンなどといった海水浴場の「海の家」としては一般的なものだが、それらの昔ながらのメニューがかえって楽しい。

ラーメンは九州らしく白濁色の豚骨味だが意外にあっさりとして美味しい。博多ラーメンなどとは明らかに違っていて、宮崎ラーメンとでもいうような独特の味わいがある。うどんも薄味で、鰹出汁が美味しい。氷の「白熊」は南九州の夏の名物として全国的にも知名度が高くなっているような気がする。基本は練乳がけのかき氷の中に各種フルーツが埋め込まれたものだが、店によって微妙に違っていたりする。

かき氷と言えば、最近は発砲スチロール製のカップ型の容器に入れて出してくれて、スプーンもストローの先を少し広げたようなものを使っていて何とも味気ない。昔はどこの店でも朝顔型の半透明のプラスチック容器を使っていたものだ。あの容器で食べてこその「かき氷」だと思うのは、そういう時代に育った世代のせいだろうか。あの安っぽい雰囲気も今となっては懐かしい。
大堂津海水浴場 大堂津海水浴場
大堂津海水浴場
大堂津海水浴場
【所】日南市大堂津
【問】日南市観光協会
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ページ内の写真は2000年夏に撮影したものです。本文は2009年6月に改稿しました。