日南海岸風景
南郷城跡
南郷城跡
大堂津の町の西、細田川を挟んで小高い山がある。この山に、かつて南郷城があった。南郷城は1601年(慶長6年)に伊東祐慶によって築かれたと言われる。薩摩の島津氏に対する備えとして築城されたもののようだが、1615年(元和元年)の一国一城令によって廃城になっている。ところどころにわずかに城の遺構もあるようだが、今ではただの小高い山である。
南郷城跡
南郷城跡の山頂部は平坦で、車を2、3台停めるスペースがある。展望所へ向かう道脇に「ようこそ 城山へ」と題された案内板があった。その記述によれば、南郷城跡の山頂は私有地だそうで、山頂からの眺めなどを楽しんでもらおうと、地区内外の有志や「青壮年ふれあい同志会」等の人々で整備しているのだそうだ。海を望む部分にはベンチが置かれ、双眼鏡も設置されているが、これらもすべてそうした整備活動のお陰なのだろう。一角にはドリンクの自動販売機も設置されていたが、これも整備の一環で試行的に設置したものという。
南郷城跡
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山頂部の東側は海を望む展望所だ。標高は120mほど。東側、すなわち日向灘を望む方角に眺望が開け、素晴らしい景色が広がっている。ここからの眺望は数ある日南海岸の眺望の中でも屈指の美しさを誇るものではないか。正面眼下には大堂津の町と入り江を見下ろしている。大堂津の町の手前には細田川が流れ、細田川と入り江に挟まれて横たわる大堂津の町の様子がよくわかる。細田川は視界右手(南側)で入り江に注ぎ、河口部で川を跨ぐ国道220号と日南線の線路もよく見える。河口の先には虚空蔵島が浮かび、目井津の町の一部も視界に収まる。その沖に浮かぶのは大島だ。視界左手を見れば大堂津港猪崎鼻が横たわり、その沖に七ツ八重が浮かぶ。それらの景観が一気に視界に飛び込んでくる。息を呑むような絶景である。
南郷城跡
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鉄道写真趣味の人なら細田川橋梁を渡る日南線の姿をぜひ撮影しておきたい。沖の大島なども構図に入れて美しい景色の中を走る日南線の姿を小さく捉えるのもいいし、もっと寄って橋梁を大きく捉えるのもいい。200mm以上の望遠レンズが必携である。ちなみに、(気候や風向きにもよると思うが)列車が近づくとその音が風に乗って山頂まで届く。その音に耳を澄ますのもいいものである。
南郷城跡
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南郷城跡へ登るには東側の塩鶴から登るルートと南西側の中村神社横から登るルートの二つがあり、道は狭いながらもどちらも車で山頂まで行ける。塩鶴側から登るルートは東側に視界が開けているから、高みに登るに従って次第に広がっていく眺望を楽しむことができる。少々距離があるが歩いて登るのも一興だ。
南郷城跡
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南郷城跡は城好きの人ならもちろん訪ねてみたいところだろうと思うが、山頂部からの眺望はたいへんに素晴らしく、一般の観光でもぜひ訪ねてみてほしい場所のひとつと言っていい。できれば快晴の日がいい。山頂の展望所に立って風に吹かれながら海を眺めれば、日々の喧噪を忘れて爽快な気分を味わうことができる。山頂部には桜が植えられており、河津桜や八重桜もある。春先に訪れるのもお勧めである。
南郷城跡
南郷城跡
INFORMATION
南郷城跡
【所】日南市南郷町中村〜下方
【問】日南市観光協会
このWEBページは「日南海岸散歩」内「日南海岸風景」カテゴリーのコンテンツです。
ページ内の写真は2020年夏に撮影したものです。本文は2023年8月に作成しました。