日南線の旅〜踏切の風景
停車場踏切
停車場踏切
南郷駅のすぐ西側に「停車場(ていしゃじょう)踏切」という踏切がある。“南郷駅のすぐ西側に”と書いたが、実はこの踏切は南郷駅の構内踏切である。駅の上り場内信号機から下り場内信号機の間にある踏切のことを「構内踏切」という。一般的な感覚とは乖離があるが、厳密にはそれが“駅の範囲”だそうである。

「停車場踏切」という名は、だから南郷駅構内の踏切という意味なのだろうか。それにしても“停車場”である。南郷駅は1935年(昭和10年)に志布志から榎原まで延伸した志布志線が翌1936年(昭和11年)に大堂津まで延伸した際に新設された。最初から駅だったわけで信号所や仮乗降場だった経緯はない。停車場は広い意味で駅も含むから“駅構内に設けられた踏切”といった意味合いだったのかもしれない。それとも鉄道とはまったく関係の無い“停車場”なのだろうか。由来はわからない。
停車場踏切
「停車場踏切」を通る道路はそれほど広い道路ではない。車両の通行は可能だが、対向車があれば踏切の手前で待って、譲り合う必要があるだろう。しかし、この踏切で対向車に出会う機会はあまりない。というより、踏切を通過していく車両もほとんどない。踏切のすぐ西側で、国道220号は陸橋で日南線の線路を越えていく。だから踏切を通過するのは地元の一部の人だけだ。

踏切の北側、道路の東側には日南市立南郷小学校が建っている。踏切の南側は南郷駅前の市街地の一角、かつては南那珂郡南郷町の中心市街だった。今は鄙びた田舎町の風情を漂わせている。
停車場踏切
停車場踏切
夏の夕暮れ近く、少しずつ暗くなっていく踏切を自転車に乗った少年が通り抜けていく。どこへ急いでいるのだろう。家路を急いでいるのだろうか。静かに暮れてゆく、停車場踏切である。
停車場踏切
停車場踏切
停車場踏切
INFORMATION
停車場(ていしゃじょう)踏切(53K098M)
【所】日南市南郷町中村乙
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ページ内の写真は2020年夏に撮影したものです。本文は2024年9月に作成しました。