日南海岸風景
福島川河川歴史公園
福島川河川歴史公園
串間市の中心部を貫くように福島川が北から南へ流れている。福島川は串間市の北部、都城市との市境を成す山地を源流域とし、大束、北方、福島地区を経て志布志湾に注ぐ二級河川だ。総延長28キロメートル、流域面積152平方キロメートルほどという。その福島川の河口部近く、右岸部に「福島川河川歴史公園」という公園が設けられている。「公園」とは言っても小規模なもので、河岸部に設けられた緑地帯という様相だ。そもそも福島川右岸の堤防道は「桜づつみロード」と名付けられた桜並木の道で、舗装路の横に散策路が整備されている。その途中に、少し幅を持たせて公園としたものだ。
福島川河川歴史公園 福島川河川歴史公園
福島川河川歴史公園
串間市中心部の平野部は、太古から続く福島川の洪積作用によって生まれたものだ。そのお陰で串間市は肥沃な大地に恵まれたが、時には氾濫によって多大な被害をもたらしてきた。福島川は1919年(大正8年)に二級河川の指定を受け、高さ1〜2mの堤が造られたという。しかし1951年(昭和26年)のケイト台風によって氾濫、市内に被害をもたらした。ちなみにケイト台風は1951年(昭和26年)7月、高知県に上陸、高知県をはじめ、四国四県に大きな被害をもたらしている。これを期に1958年(昭和33年)に計画が見直され、現在のような堤防が築かれたという。公園内に設けられた説明パネルに、そうしたことが記されている。福島川河川歴史公園は、河川とその周辺空間をより身近に親しんでもらうための施設として造られたそうだ。完成したのは1994年度(平成6年度)のことだ。公園敷地内には、その記念碑が建てられている。

福島川河口部の周辺は長閑な田園地帯だ。農閑期にはほとんど人の姿は無い。夏の盛りのお昼過ぎ、福島川の堤防道にも通る人はなく、ただ静かに時が流れるだけだ。福島川は滔々と流れ、夏の日差しを浴びている。河口部に近く、潮の満ち干によって大きく表情を変えるのだろう。福島川河川歴史公園は、“観光”とはまったく無縁と言っていい。訪れてみたくなるような特徴があるわけではない。しかし、そのことが魅力的にも思える。言わば“無名の風景の美”である。公園前から見る福島川の姿は、遠い夏の記憶のような風景だった。
福島川河川歴史公園
INFORMATION
福島川河川歴史公園
【所】串間市大字南方
【問】串間市観光物産協会
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ページ内の写真は2016年夏に撮影したものです。本文は2017年4月に作成しました。