横浜市都筑区の港北ニュータウン、大小の公園を繋ぎながら住宅街の中をさまざまな緑道が辿っている。都筑区の東端部に延びる「せきれいのみち」もそのひとつだ。「せきれいのみち」は早渕川の河岸から南へ延び、早渕公園脇を抜け、仲町台駅北側でせせらぎ公園へ至り、そこから西へ延びて茅ヶ崎公園へと繋ぐ。茅ヶ崎公園から西は「ささぶねのみち」がさらに西へ延びている。

「せきれいのみち」の北側の起点は早渕川の左岸に位置する「早渕かなりあ公園」だ。この辺りは港北区との市境も近く、早渕かなりあ公園から早渕川河岸の道を東へ500mほど辿れば区境だ。早渕川を跨いで第三京浜が通っており、第三京浜がちょうど区境に当たっているようだ。第三京浜脇の新北側橋を渡って少し北へ辿れば横浜市営地下鉄グリーンラインの東山田駅も近い。

早渕かなりあ公園は河岸から少し小高くなった立地だ。南側に広がる丘陵地の端部となった地形なのだろう。その立地のおかげで、公園内からは早渕川河畔の眺望が広がる。「せきれいのみち」は早渕かなりあ公園の西側を南に向かって延びている。河岸に近いところでは“切通”のような形状の舗道だが、やがて丘上に広がる住宅街の舗道と一体化して辿ってゆく。舗道はハナミズキの並木だ。春には美しい景観を見せてくれることだろう。

住宅街横を抜けると「稲波（いなみ）歩道橋」という人道橋で道路を越える。この付近は丘上の高所で、歩道橋脇からは周辺の景観を見渡すこともできる。「稲波歩道橋」を渡ると早渕公園だ。早渕公園はグラウンドと雑木林から構成された公園で、中央部は小高い丘を成している。丘上からは南へ眺望が開けている。雑木林はなかなか鬱蒼としており、見事な竹林もある。「せきれいのみち」は早渕公園の東側を抜けて南へ下ってゆく。

早渕公園を後にして南へ辿れば、「せきれいのみち」は木々の植栽された緑道の佇まいだ。すぐ東側には第三京浜の都筑ICがあるはずだが、車の騒音などは届いてこない。緑道脇は住宅街だ。住宅街の街並みも美しく、「せきれいのみち」沿いにはモニュメントを配した広場なども設けられている。南へ進むと「せきれいのみち」の西側に小公園がある。広場が設けられ、脇の方にブランコや滑り台などの遊具が備えられている。公園では小学生くらいの子どもたちの遊ぶ姿があった。

小公園を過ぎると、「春雨橋」という人道橋で県道13号線を渡る。県道13号線の南側、「春雨橋」の袂は小公園のように整備され、壁泉を設けた池がある。この池は「せきれいのみち」をさらに南に辿った先にある「せせらぎ公園」から小さな流れで導かれた水を利用しているものなのだろう。池の周囲は木々に包まれ、ベンチも設置されている。県道13号線に設けられた「新栄高校北口」バス停にも近く、この広場は「せきれいのみち」への主要なエントランスのひとつとして機能しているのだろう。

県道13号線の南側の「せきれいのみち」は、北側とは幾分趣が異なる。鬱蒼と茂った木々に包まれ、道には小川が沿い、住宅街の中を辿る緑道と言うより、林間の小径のような、野趣を感じる佇まいだ。緑道脇の樹林は植栽されたものなのだろうか。住宅街が造成される以前からあった林地を利用したものかもしれない。「せきれいのみち」には行き交う人の姿も少なくないが、すでに仲町台駅にも近く、駅方面へ行き来する人たちが「せきれいのみち」を使うのだろう。

鬱蒼とした木々に包まれた区間を抜けると眼前に池が横たわっている。せせらぎ公園の東側の区域に設けられた池だ。池の南岸には古民家が保存され、緑に包まれて興趣に富んだ姿を見せる。池の北岸は桜並木で、春には見事な景観になる。「せきれいのみち」はせせらぎ公園内の園路と一体化して西へ辿る。

せせらぎ公園は横浜市営地下鉄ブルーラインの仲町台駅に近く、周辺にはお洒落なレストランなどもある。それらのレストランで食事やお茶を楽しむのも散策の醍醐味だろう。

「せきれいのみち」はせせらぎ公園を過ぎてさらに西へ延び、数百メートルで茅ヶ崎公園へ至っている。茅ヶ崎公園で「せきれいのみち」は「ささぶねのみち」と名付けられた緑道へと繋がり、「ささぶねのみち」がさらに西へと延びてゆく。「ささぶねのみち」を辿って散策の足を延ばすのも楽しい。

早渕川の河岸から丘を抜け、住宅街の中を辿り、鬱蒼とした木々の中を歩く。さまざまな表情を楽しめるのが「せきれいのみち」の魅力だろう。北端では横浜市営地下鉄グリーンラインの東山田駅に近く、南西端では横浜市営地下鉄ブルーラインの仲町台駅に近いから、それぞれの駅を出発点と到着点に選ぶと「せきれいのみち」散策も便利だ。早渕公園やせせらぎ公園、茅ヶ崎公園などに立ち寄りつつ、四季それぞれの表情を味わいながらの散策が楽しい。