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相模原市緑区川尻
本沢梅園
Visited in March 2019
(本頁の内容には現況と異なる部分があります)
本沢梅園
相模原市緑区川尻に「本沢梅園」の名で知られる梅の名所がある。谷戸の奥まった斜面に約千本の梅が咲き誇り、圧巻の景観を見せる。梅が見頃を迎えた三月上旬、相模原市の花の名所のひとつとして名を連ねる「本沢梅園」を訪ねた。
相模原市緑区川尻の「本沢(ほんざわ)梅園」は約千本の梅が咲き誇る梅の名所として名高く、相模原市の花の名所のひとつに名を連ねる。城山湖のすぐ東側、県道48号の「小松」交差点から西へ入り込んだ谷戸の奥に位置し、周辺は城山湖畔も含めてハイキングコースとして人気のところだ。

本沢梅園
「本沢梅園」は谷戸の奥まったところの斜面を利用して梅を植栽したものだ。植えられている梅は約千本、そのほとんどが白梅の白加賀で、ところどころに他品種の紅梅が混じる。梅園は花が見頃を迎える2月下旬〜3月に期間限定で開園する。梅の開花はその年の気温等に大きく影響されるため、開園期間は年によって多少異なり、3月上旬だったり下旬だったりするようだ。入園料などは必要なく、無料で入園、観梅を楽しむことができる。

本沢梅園
梅園入口は北側、すなわち谷戸の奥の尾根側の道路沿いに設けられ、そこからつづら折りとなった園路を辿って斜面を上り下りしながら観梅を楽しむという形だ。梅園はフェンスで囲まれており、北側の入口以外には出入口はない。従って入口から園路を辿って最下部まで降りたら、また園路を上って戻らなくてはならない。けっこうな高低差があるが、景色を楽しみながらのんびりと歩けばそれほど苦になるほどではない。

本沢梅園
約千本の梅が咲き誇る様子はまさに圧巻の景観だ。周辺には山々が間近に迫っているが、梅園の設けられた斜面は南側に面していて日当たりがいい。梅園を埋め尽くすように咲く白梅が陽光を浴びて輝き、見事な美しさを見せる。北側の高所から見下ろせば梅の花は逆光の中に浮かび、南側の低所から見上げれば順光を浴びて早春の青空を背景に輝く。園路をのんびりと辿ってその景観の中を歩けば観梅の醍醐味を存分に味わうことができる。

本沢梅園
この梅園は「川尻財産区」の所有地であるという。「川尻財産区」とは聞き慣れない言葉だ。梅園が設けられた場所は、昔は茅場だったという。茅葺き屋根に用いる、あの茅を育てる場所である。茅場は地域集落の共有財産として管理されてきたが、やがて茅場の必要性も無くなり、その茅場がダム建設の際に発生した残土の埋め立て地となり、その跡地に梅が植えられて現在のような梅園となった。梅園となった後も、この土地は地域の共有地であり、地域の財産として管理されているということなのだ。

本沢梅園
今回訪れたのは「本沢梅園」開園期間中の土曜日、「本沢梅園まつり」が開催されていた。そのお陰か、来園者も多く、なかなかの賑わいだ。梅園入口近くの道路脇の広場には露店が並び、団子や鮎・ヤマメの塩焼きなどの販売の他、地元特産品の販売も行われていた。広場の端には特設ステージも設けられて、地域団体による太鼓演奏などが披露されている。賑わいの好きな人なら「本沢梅園まつり」の開催日に合わせて訪れるといい。
本沢梅園
「本沢梅園」のすぐ西側には城山湖が横たわっている。城山湖は「本沢ダム」で水を堰き止めて造られた人造湖である。完成したのは1965年(昭和40年)のことだ。津久井湖の水を汲み上げて城山湖に貯め、その水によって発電が行われている。城山湖の周辺は城山発電所の敷地内だが、昼間は自由に出入りすることができ(17時閉門)、ハイキングコースとして人気を集めている。車で入ってゆくこともできるから、「本沢梅園」に訪れた際には足を延ばしてみるといい。

本沢梅園
特に城山湖の南岸部に設けられた駐車場付近にはぜひ足を運んでみたい。駐車場脇に展望所が設けられており、眼下に城山湖を見下ろすことができる。展望所付近の標高は300m超、特に北東側には視界が開け、爽快な眺望が楽しめる。「本沢ダム」の堤体の向こうに遠く見えるのは八王子市中心部の市街地だ。ひときわ高く聳えるビルは八王子駅南口に建つ「サザンスカイタワー八王子」である。

「本沢ダム」は堤体上を歩くこともできるから余裕があれば足を延ばしてみるといい。さらに時間と体力に余裕があれば、城山湖を周回する散策路を辿ってみるのもお勧めだ。距離は約4,720m、所要時間は約2時間だそうである。
「本沢梅園」はかねてから訪ねてみたいと思っていたのだが、毎年タイミングを逸していた。今回、ようやく念願叶って訪ねることができた。「梅の名所」として広く知られるだけのことはある、見事な梅園だった。

「本沢梅園」では6月には梅の実のもぎ取りイベントが行われる。来園者自らが梅の実のもぎ取りを行うもので、なかなかの人気だそうである。梅の実のもぎ取りは有料で、この時の収益は「本沢梅園」の管理費などに充てられるという。

「本沢梅園」は地理的に公共の交通機関での来園は少し不便だ。JR橋本駅北口から「大戸」の行きのバスで終点の「大戸」まで行き、「大戸」バス停から歩くのが最も近いか。「大戸」バス停から「本沢梅園」まで、距離は約1kmだが、高低差100mほどの坂道を上らなくてはならない。

車で来訪する場合は、城山発電所入口横の駐車場や、「本沢梅園」東側に設けられた「城山天空の里駐車場」が利用できる。どちらも無料だ。駐車スペースにも余裕がある。車での来園が賢明だろう。

「本沢梅園」から北へ(すなわち「大戸」バス停側へ)降りてゆけば町田市との市境が近い。境川の最上流部である。谷戸を西へ入ってゆけば町田市の「大地沢青少年センター」が建っている。さらに西へ入り込んだところは境川の源流部だ。余裕があれば足を延ばしてみるのもいいかもしれない。
【追記】
大地沢青少年センターは2023年(令和5年)4月1日から指定管理者制度が導入され、それに伴って「Nature Factory 東京町田」に名称変更されている。本頁内の「大地沢青少年センター」の記述はその旨、読み替えられたい。
本沢梅園