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相模原市当麻
無量光寺
Visited in June 2023
無量光寺
相模原市当麻の中央部、当麻山無量光寺という寺がある。一遍上人の縁の寺として知られる寺で、鬱蒼と樹林の茂る境内は凛と鎮まり、日常を忘れるひとときを過ごすことができる。
無量光寺 当麻山無量光寺は時宗の開祖である一遍上人の縁の寺である。諸国遊行の途中の一遍上人が亀形峰(きぎょうほう)と呼ばれる丘の上に妙見菩薩の祠を見つけ、ここに金光院という庵を結んで修行に励んだのが寺の起りであるという。鎌倉時代の1261年(弘長元年)のことであったらしい。

時宗は一遍上人が開いた浄土宗の一派だが、踊念仏による布教によってよく知られている。「時宗」と呼ぶようになったのは江戸時代になってからのことであるらしい。

無量光寺 一遍の死後、弟子であった真教が一遍を継ぎ、遊行の後、1303年(嘉元元年)にこの地に無量光寺を建立し定住した。一生を遊行に捧げた一遍とは異なり、真教はこの無量光寺に定住し、教団を組織していったのだという。

その後、寺は繁栄したが幾度かの戦火で諸堂は焼失、再建された本堂も1893年(明治26年)の大火によって焼失した。現在は仮本堂が残るのみだが、本尊は焼失を免れ、現在も人々の信仰を集めている。現在一遍上人の銅像が建てられている場所が、消失した本堂跡だそうである。

無量光寺 無量光寺は「無量光寺の境内及び笈退の遺跡」として相模原市の史跡にされている。また山門と木造一遍上人立像、無量光寺文書が相模原市の有形文化財に指定されている。山門は神奈川県内では類例の少ない高麗門の形式で、17世紀初頭の建築ということである。無量光寺文書は後北条氏を中心として中世の文書群とのことだ。

無量光寺は「神奈川の景勝50選」にも名を連ねており、相模原の景勝地のひとつにも数えられている。相模川を見下ろす丘の上という立地だが、鬱蒼と茂る木々に遮られてほとんど眺望を楽しめないのが残念なところか。

無量光寺 境内は木々が茂り、世俗を離れた静寂に包まれている。池を配した庭園は鎌倉・室町期の築庭手法をとどめるものだという。“庭園美”を誇るような境内ではないが、閑寂な魅力が漂い、風趣に富んだ佇まいだ。

のんびりと境内を巡って見学させていただくのは心安らぐひとときだ。交通量の多い国道129号が近くを通り、さらに圏央道の相模原愛川ICも近いからか、かすかに車の騒音が聞こえてはくるものの興を削ぐほとではない。日常の喧噪を忘れて静かな時間を過ごすことができる。
無量光寺
無量光寺は寺社に興味にある人はもちろん、「神奈川の景勝50選」を巡っている人も一度は訪ねておきたい寺だろう。境内にはカエデの木も多く、春の新緑や秋の紅葉も美しい。それらの景観を目当てに訪ねてみるのもいい。かつては近隣から多くの人々が無量光寺に参詣に訪れ、丘の下には市場ができ、門前町として栄えたという。今でも古い地名などにそうした時代の名残を見つけることもできる。そうしたものも含めて散策を楽しむのも一興だ。JR相模線の原当麻駅から1km足らず、10〜15分ほど歩けば着く。
無量光寺
無量光寺
無量光寺
無量光寺