相模原市当麻
当麻の水田地帯
Visited in July 2001
真夏の暑さとなった七月の始め、三段の滝を訪れた際に足を延ばして相模川河畔を昭和橋まで歩いてみた。このあたりは相模川と河岸段丘との間の平地に水田が広がり、のどかな風景が楽しめるところだ。かねてから稲の育つ季節に訪れてみたいと思っていた場所だった。
川の中ほどまで水に入って竿を持つ釣り人の姿がある。釣りに興味の無い身では何が釣れるのかも知らないのだが、そうした釣り人の姿も夏の風情を感じさせて、その様子を見るだけでも楽しい。
広場用の駐車場らしきスペースの隅には乗用車が何台か打ち捨てられている。ウインドウは割れて無く、車内の装備類もほとんど外されて無く、代わりに粗大ゴミらしいものが投げ込まれていたりする。車体は傾き、錆びて、朽ちるままになっている。乗用車というより、かつて乗用車であったものの残骸だ。打ち捨てられて朽ちるままの車の残骸は、確かに醜悪で迷惑なものではあるのだが、真上から照りつける夏の日射しの中でそれはまるでひとつのオブジェのようにも見えた。
昭和橋の下の河川敷には車が十台ほど停まっている。休日にはバーベキューなどを楽しむ人々で賑わうところだ。停めた車の窓を開け放して読書を楽しむ人の姿もある。肌を灼きにきたのだろうか、河川敷にシートを広げて、水着に近い格好で横になっている若い女性のグループの姿もあった。
昭和橋からは県道を北上するが、車両の通行も多く、歩いていて楽しい道ではない。沿道の民家の庭先の様子などを眺めながらひたすら歩けば、やがて無量光寺が近い。無量光寺下の当麻山公園に立ち寄り、一休みする。紫陽花はすでに盛りを過ぎているが、少しばかり残っていて目を楽しませてくれる。
当麻山公園を後にして水田の広がる中へと歩を進める。東の河岸段丘と西の相模川とに挟まれたこの一角は、おそらく遠い昔には相模川の河川敷だったのではないだろうか。今では河岸段丘に沿ってその下を流れる八瀬川と相模川とに挟まれた水田地帯となってのどかな風景が広がっている。水田用水は八瀬川から引いているようだが、整然と区画された水田の間にも水路が通って充分な水量が流れている。
田植えが終わって一ヶ月ほど、稲はようやく育ち始めた頃だ。夏の初め、水を湛えた水田の風景というものも風情のあるもので、水田の様子や流れる水の表情などを眺めながらの散策は楽しい。ところどころで稲の間を縫うように泳ぐ鴨の姿もあった。
八瀬川はさらに北の田名のあたりから流れてくる川のようだが、無量光寺の付近から川幅が広くなり、水田地帯の東を廻って河岸段丘の下部を流れ、三段の滝の近くで相模川に注いでいる。河岸の固められた味気ない景観の川ではあるが、河岸段丘の下あたりでは斜面林の緑を映してそれなりの趣はある。目を凝らして水の中を覗き見てみると、流れに揺れる水草の中に小魚の泳ぐ姿も見えた。
八瀬川が下を流れるあたりの段丘上は、そこから木立の間に見え隠れする相模川河畔の景観が美しく、「八景の棚」の名で景勝地として知られている。時間と体力が許せば段丘の上へとルートを辿って、そこからの眺めを楽しむのもよいものだろう。
昭和橋からは県道を北上するが、車両の通行も多く、歩いていて楽しい道ではない。沿道の民家の庭先の様子などを眺めながらひたすら歩けば、やがて無量光寺が近い。無量光寺下の当麻山公園に立ち寄り、一休みする。紫陽花はすでに盛りを過ぎているが、少しばかり残っていて目を楽しませてくれる。
田植えが終わって一ヶ月ほど、稲はようやく育ち始めた頃だ。夏の初め、水を湛えた水田の風景というものも風情のあるもので、水田の様子や流れる水の表情などを眺めながらの散策は楽しい。ところどころで稲の間を縫うように泳ぐ鴨の姿もあった。
八瀬川が下を流れるあたりの段丘上は、そこから木立の間に見え隠れする相模川河畔の景観が美しく、「八景の棚」の名で景勝地として知られている。時間と体力が許せば段丘の上へとルートを辿って、そこからの眺めを楽しむのもよいものだろう。
青々と稲が育ちつつある水田の景観もよいものだが、田植えの時期や稲刈りの時期もそれらの作業風景がのどかな田園地帯の季節を感じさせて風情のあるものだ。そうした季節を選んで、またのんびりと散策を楽しんでみたい。