横浜線沿線散歩街角散歩
町田市相原町
初秋の上大戸
Visited in September 2021
(本頁の内容には現況と異なる部分があります)
初秋の上大戸
九月の下旬、あちこちで彼岸花の咲いている風景を見る季節、境川上流部、町田市相原町の「上大戸」地区を歩いた。町田街道の「大戸交差点」から西へ入り込んだ辺りは静かな里山風景も残り、散策の楽しいところだ。澄んだ秋空の下、この季節ならではの風景に出会えれば嬉しい。
初秋の上大戸
町田街道の「大戸交差点」から100mほど西へ入り込んだところに「上大戸」バス停がある。今回の上大戸散策の出発点は、この「上大戸」バス停にしよう。「上大戸」バス停のすぐ東側には大戸観音堂が建っている。そもそもは1596年(慶長元年)に建立されたという古い観音堂だ。

初秋の上大戸
鐘楼の傍らには町田市の保存樹木である大きなイチョウが立っている。九月の下旬ではまだイチョウの黄葉には早く、緑濃い姿だ。境内の南東側の隅には百日紅の木がある。こちらはすっかり花の盛りを過ぎているが、まだ少しばかり枝の先に花を残している。その姿がいかにも初秋らしい姿だ。

初秋の上大戸
大戸観音堂前の道脇に彼岸花が咲いている。道脇の敷地を囲むフェンスの下で、ほんの少しだけ顔を出した彼岸花が風景を彩る。どこにでもある初秋の風景だが、心惹かれるのはこの季節だけの風情だからか。

初秋の上大戸
大戸観音堂から西へ道を辿っていこう。途中、民家の敷地を囲む生け垣の根方に彼岸花が並んでいるところがあった。こちらはけっこうまとまった数で咲いている。生垣の緑との組み合わせが鮮やかなコントラストを見せて、美しい景観だ。
初秋の上大戸
さらに道を西へ辿っていくと、道の南側に境川が沿うようになる。境川はかつての武蔵国と相模国との境、今は東京都町田市と神奈川県相模原市との境だ。境川の対岸は相模原市ということになる。しばらく行くと、道は境川を橋で渡り、境川が道の北側に位置するようになる。そこを過ぎれば、要するに都県境を越えて相模原市になる。

都県境を越えて数十メートル行くと三差路がある。角にはお地蔵様を祀る祠があって印象的な景観を見せている。

初秋の上大戸
三差路脇の畑地の隅、道路脇に「雨降(あめふらし)」という古地名を記した石柱が建っている。「雨降」や「雨降止(あめふらし)」とも書いたという。1603年(慶長8年)の村の記録にもある古い地名だと、石柱に記されている。どのような由来でそのような地名が生まれたのか興味を覚えるが、おそらくはっきりとしたことはもうわからないのだろう。

初秋の上大戸
畑地の隅ではコスモスが咲いていた。コスモスというと十月頃に見頃を迎える花という印象だが、もうそろそろコスモスの咲く季節なのだなと実感する。秋空を背景に薄いピンク色のコスモスが映えて美しかった。
初秋の上大戸
三差路を右手へ、町田市の大地沢青少年センターへ向かう道へ歩を進めよう。この辺りは美しい里山風景が残るところだ。緑濃く長閑な風景と青く澄んだ秋空との組み合わせがたいへんに美しい。

境川は北側の丘裾を辿って流れている。境川に沿った小径を歩けば、街の喧噪から離れた山里の風情を感じることもできる。のんびりと一巡りしてから帰路を辿ることにしよう。
【追記】
大地沢青少年センターは2023年(令和5年)4月1日から指定管理者制度が導入され、それに伴って「Nature Factory 東京町田」に名称変更されている。本頁内の「大地沢青少年センター」の記述はその旨、読み替えられたい。
上大戸地区にはこれまで何度か訪れたことがあるが、季節が変われば新しい発見もあり、楽しい散策だった。この季節、初秋の澄んだ空気が爽やかで、散策には絶好の季節だと言っていい。

北側の丘は東京都立大戸緑地として整備され、2011年(平成23年)に開園している。大戸緑地はまた別の機会に足を延ばしてみることにしたい。
初秋の上大戸