横浜線沿線散歩公園探訪
八王子市南大沢
松木日向緑地
Visited in April 2005
松木日向緑地
南大沢一丁目の、都立大学の建つ丘陵の南斜面に位置して、東西に長くかなりの面積を有する緑地がある。松木日向緑地という。緑地自体は都立大学の学内緑地であり、都立大学の管理下にあるようだ。緑地の一角には南大沢八幡神社もあり、雑木林を自然のままに残した緑地は付近住民の憩いの場としても機能しているようだ。
松木日向緑地
緑地の西端に池がある。南大沢駅方面からやってきて緑地内に入ると、まずこの池の付近に降りてくることになる。緑地内には三つの池があるそうだが、そのうちの最も大きなものがこの池であるらしい。池の中には小魚なども棲息しているようだが、「大学の研究用なので捕らないで」との旨の注意書きがある。池の端の方には小さな橋も架けられており、池のほとりにはベンチなども設置されていて、いかにも「公園」的な佇まいを見せている。お昼時には都立大学の学生がくつろいでいる姿を見かけることもある。すぐ横が道路であるため車の騒音は届くが、交通量はそれほどでもなくのんびりとした雰囲気を保っている。池の東側にはそれほど広くは無いが梅林があり、早春の散策の眼を楽しませてくれる。梅林付近に外の道路とを繋ぐ出入り口があり、そこからいったん外に出てわずかに東へ坂道を下ると南大沢八幡神社だ。散策の際には立ち寄ってみるとよいだろう。
松木日向緑地
梅林の横から南大沢八幡神社の北側を回り込むように林の中に小道が延びている。鬱蒼とした木立に誘われるように小道を進むと、小道は雑木林の中を上り下りを繰り返しながら緑地内を東へさらに伸びている。小道は概ね石を敷き詰めたもので少々歩きにくいが、舗装された散策路よりはるかに周囲の景観に似合って風情があるように思える。以前歩いたときと比べれば少しばかり荒れた印象があった。この散策路を歩く人もあまり多くはないのかもしれない。ところどころに「まむしに注意」の警告が立てられている。

ところどころにタンポポが咲く小道をさらに東に進む。途中、見事な竹林の横を抜けたり、眺望の開けたところを通ったりと、単調となりがちな林の中の散策にアクセントを添えてくれる。南側には多摩センター通りや京王線の線路が通っているために、車や電車の走行音が緑地の中にも届いてきて少々うるささも感じるのは残念なところか。それを忘れさせてくれるように、この季節、どこからかウグイスの声が聞こえてきた。南に眺望が開けると、大田川や多摩センター通りを隔ててその向こうに別所やまざくら公園が見える。桜の開花が遅れた今年(2005年)、別所やまざくら公園では見事に桜が咲き誇っていた。

松木日向緑地
緑地内の散策路を東側へと歩ききると展望所のようになった場所に出る。四阿があり、その横で桜が咲いていた。傍らには都立大学の和弓場があり、出入りする学生たちの姿がある。その場所を回り込むように北側へさらに小道が続いている。この小道は都立大学の野球場の外周に沿って弧を描いて延び、やがて富士見台公園を右手に見ながら進むと、「富士見台公園南」交差点近くに至る。小道はそのままキャンパス内へと続いているが、交差点横手に下の道路へ下りる階段が設けられている。そこからそのまま富士見台公園へと散策の足を延ばすのもいい。
松木日向緑地松木日向緑地松木日向緑地
緑地内にはヤブザクラという珍しい種類の桜もあるという。探してみると、梅林横から上がって都立大のキャンパスと緑地との境界に沿った舗道を進んだところに「ヤブザクラ」のネームプレートを付けられた樹木を見つけた。大木というわけではなく、幹は意外に細い。残念ながら訪れたときには花の時期を過ぎていた。そのヤブザクラのすぐ近くには「ホシザクラ(仮称)」というネームプレートを付けられた桜もあった。プレートには「後日名称が変更になる場合があります」と添えられている。2003年3月に発見された新種のサクラであるらしい。植物にそれほど詳しくない身では他の桜との相違点もよくわからないが、そういった貴重な植物が残る緑地だと思いながら歩くと気分も変わってくるというものだ。
松木日向緑地松木日向緑地
あくまで「緑地」であるから、のんびりとくつろぐための「公園」としての性格は薄いが、草木に興味のある人ならそれなりに楽しめるだろう。途中何カ所か、南側の大田川河畔とキャンパス内とを繋ぐ舗道が緑地内を横切っており、そこから緑地の外へと抜け出ることもできる。また南大沢駅側に位置する西端部分から舗道を北に少し辿ると柳沢の池公園が近い。大田川河畔や南大沢八幡神社なども含めて、周辺の散策も併せて楽しむのがお薦めだ。
松木日向緑地