横浜線沿線散歩街角散歩
町田市鶴間〜原町田
境川河畔
(鶴間〜原町田)
October 2003
境川河畔
境川の河畔を歩いてみたいと思い、十月の下旬に出かけた。今回は東急田園都市線南町田駅を降り、そのあたりから北へ辿って町田駅を目指すことにした。
横浜線長津田駅で東急田園都市線に乗り換え、南町田駅で降りた。この辺りは国道16号の大和バイパスと国道246号との交差点にも近く、昔から車で通り抜けることも少なくなかった。周辺の交通量が多いせいか、少々雑然とした雰囲気もあったところだが、今では大型アウトレットモールの「グランベリーモール」があり、すっかり様変わりしてしまった観がある。南町田駅の南側出口も「グランベリーモール口」という名で、改札を抜けるとすでにそこは「グランベリーモール」だ。

グランベリーモール
駅の改札から出たところは「グランベリーモール」北端部の「FRESHBERRY MARKET」と名付けられたエリアで、レストランや食材店などが並び、「駅前」ということもあってかコンビニエンスストアや郵便局なども設けられている。そのエリアを通り抜けて南へ歩を進めると道路が横切っている。「グランベリーモール」の中央エリアを取り巻くように通る道路で、「グランベリーモール」の客は歩道橋を渡って南側へと進むことになる。
追記 グランベリーモールは2017年(平成29年)2月12日をもって閉館した。
今回は「グランベリーモール」が目的地ではないからこの外周道路を右手(西)へ辿る。すぐに交差点があり、その向こうに林が見える。鶴間公園の林だ。信号が変わるのを待って道路を渡り、鶴間公園へと進んだ。

鶴間公園
鶴間公園は広場を林が取り囲んだような、静かな公園だ。春は桜の美しい公園であるらしく、町田市の桜の名所として名を連ねる公園だが、普段は緑に包まれて穏やかだ。「グランベリーモール」に訪れた際、雑踏に疲れたときなどにここでのんびりと一休みするのもよいかもしれない。地元の幼稚園や保育園の子どもたちが遊びに来ているのを見ながら、公園をひとまわりして通り抜けた。
鶴間公園を出て、雨水調整池の横を西へ辿るとすぐに境川の河岸に出る。河岸にはわずかな面積だが緑地のようなものが設けられ、下流側に向かって遊歩道が延びている。下流側に目を向けると小さな橋が架かっており、その橋の赤い色とその向こうのこんもりとした木立の緑とのコントラストが美しい。
境川河畔

境川河畔
上流側の河岸の道路は車両の通行も可能なようで、河岸の住宅に暮らす人たちのための道路だろう。すぐ上を東急線の線路が境川を跨いでいる。それをくぐって上流側へと歩いてゆく。境川を覗き込むと鯉の泳ぐ姿がある。水もそれほど汚れているようには見えない。少し進むと「二津谷(ふたつや)橋」という小さな橋があり、それを過ぎて河岸の道路は車両通行のできない遊歩道となる。河岸に小公園のような緑地があった。ベンチなども置かれ、こうした河岸の散策の際の一休みにちょど良いように思える。

境川河畔
さらに上流に進むと、国道16号の大和バイパスが境川を越えている。それをくぐって進む。河岸に木々の茂った緑地があり、東京都管理地との旨の標識がある。河岸の遊歩道には散策を楽しむ人やジョギングの人、自転車で行き過ぎる人などの姿がある。周辺は住宅地で、交通量の多い道路も近くを通っているが、河岸の遊歩道は喧噪から離れて穏やかな雰囲気がある。

鶴間橋
やがて鶴間橋だ。西は河岸の丘を登って国道16号の「つきみ野入口」交差点へと至り、東は町田街道の「町谷原」交差点を経て、つくし野の西側を抜けてさらに成瀬街道へと結ぶ。交通量も少なくない。境川はかつて武蔵の国と相模の国との境であったことからこの名があるわけだが、現在でも町田市と大和市、町田市と相模原市との境とほぼ合致している。そのことを、この鶴間橋で目の当たりにする。橋の大和市側には「神奈川県大和市」の標識が、町田市側には「東京都町田市」の標識があり、境川が都県境であることがよくわかっておもしろい。
定方寺
鶴間橋を渡って大和市へと歩を進め、河岸の丘の上へと進んでみた。昔からの道らしい道路を辿って丘の上へと出ると定方寺がある。定方寺は昔は境川の河岸にあったらしいが、度々の洪水の難を逃れるため、約250年前に現在の丘の上に移ったのだという。定方寺の前を過ぎてさらに進む。周辺には昔からの農家らしい佇まいを見せる家も多い。畑地も多く残り、その中に新しい住宅が点在している。昔の様子を彷彿とさせる風景に心惹かれてそのまま進んでみた。

やがて公所公園という小さな公園があり、すぐ脇に林が迫っている。「公所」というのはこのあたりの古い地名であるようだ。林の中を細道が降りているので、そのままそれを辿った。やがて視界が開け、目の前に見慣れた風景が広がった。どうやら国道16号に出てしまうようだ。すでに大和市と相模原市との市境のあたりだろう。そのまま16号に出てもつまらないと思って、引き返すように折れて下る坂道に沿ってみた。

すぐに崖下の道へ出て、道は東へ向かっている。ついさきほど丘の上を西に辿ったところを、今度は崖下の道で引き返しているようだ。境川の河岸へ出る道もなさそうなので、そのままその道を辿った。道の右手(南側)は崖で、斜面林に覆われている。左手(北側)は平地で、畑地や水田の中に民家が点在する。民家は昔からの農家というふうで、郷愁を誘うような風景が広がっている。ちょうど稲刈りの作業中の水田もあった。道脇の柿の木では柿の実が日差しを浴びている。
境川河畔

それらの風景を楽しみながら進むと、ようやく河岸に出る道があった。河岸に出てみると「高木(たかぎ)橋」という小さな橋があった。鶴間橋からわずかに上流側に当たる部分で、丘の上を回ったためにずいぶんと遠回りをした形だが、このような遠回りも散策の楽しみのひとつだ。
定方寺公園
「高木橋」を渡って境川の町田市側の河岸に戻ると、河岸に小さな公園があった。定方寺公園という名の公園で、公園に設置された案内板によれば、蛇行する旧境川を現在のような新境川に整備した際、大和市から町田市へ編入された場所に設けられた公園であるらしい。この公園のちょうど対岸、現在では境川となっているあたりに、かつて定方寺があったという。公園の名はそこに由来があるものなのだろう。

境川河畔
定方寺公園からさらに境川河岸を上流側へと進む。河岸の道は「境川自転車歩行者専用道路」との標識がある。定方寺公園のあたりまでは町田市側は町田市鶴間だったが、ここからは町田市金森だ。町田市側は住宅街だが、対岸の大和市側は畑地と林が広がり、辺りはなかなか静かだ。川の流れの音さえ聞こえてくる。

やがて「西田橋」という小さな橋を過ぎる。このあたりで対岸はすでに大和市から相模原市になっているはずだ。境川は大きく東へ曲がり始める。その曲がりの部分の頂点あたりに「金山橋」という小さな橋があった。町田市側にはスポーツ広場が広がっている。このあたりまで来たとき、空模様が曇りがちになった。出てきたときには良いお天気だったのだが、雲が出てきて日差しが遮られることが多くなった。お天気を気にしながら進む。

境川河畔
この辺りで、対岸の相模原市側には河岸に小公園のような緑地が数多く点在し、設けられたベンチでくつろぐ人の姿も多い。あちら側を歩くべきだったかと、少しばかり後悔した。しかし町田市側にも緑地や小公園はある。おそらく定方寺公園のように、蛇行する旧境川が現在のように整備された際に生じた河岸の土地を小公園や緑地として整備したものなのだろう。そうした緑地に植えられたケヤキの枝の高みで、羽繕いをするコサギの姿を見た。コサギと言えば、どちらかと言えば小川や湿地などで歩きながら餌を探すところをよく見かけるものだが、このように樹上にとまっているのを見ることはあまりなかった。やはり樹上にとまって羽を休めることもあるのかと、少しばかり新鮮な発見があった。
さらに上流側へと歩を進めるとやがて「鶴金(つるがね)橋」、鶴間と金森とを繋ぐという命名であるのだろうか。このあたりでまた境川は少し西へ曲がっている。橋の南側には小公園があり、ベンチなどが置かれている。散策の途中なのか、腰を下ろして休んでいる人の姿があった。
境川河畔

境川が整備された後、現在の境川に沿うように市境も改められていっているはずだが、まだ以前のままなのか、現境川と合致せずに曲がりくねった市境になっている場所が残っている。この鶴金橋のあたりもそのような場所らしく、地図を見ると市境が境川の町田市側へと食い込んでいる。橋を渡る道路を少し町田市側へと進むと「鶴金橋」という名の交差点があるが、その交差点近くにもうひとつの「鶴金橋」があり、下には小さな水路が流れている。これが旧境川の名残なのだろうか。その橋の袂に「上鶴間一番地之碑」という石碑があった。
境川
鶴金橋を渡ってここから相模原市側の河岸を歩いてみた。河岸の道路は車の通行もあるようだが、あまり車は通らない。このあたりで空はすっかり雲に覆われてしまった。川の両脇は住宅街が続く。ときおり川面を覗き込み、鯉の群れる様子を見ながら進む。このあたりでは境川は両脇に土砂が堆積し、そこに草が生え、その中を蛇行するように流れがあり、瀬があり、淵が生じている。その淵に鯉が群れる。護岸工事の施された川の中に、自然の川が再生しているかのようでおもしろい。

「上鶴間橋」を過ぎ、小学校の横を過ぎると、前方にすでに町田駅周辺の繁華街の建物が見えてくる。やがて「境橋」、境川を跨ぐ道路は町田駅周辺と相模大野方面とを繋ぐ。現在の境橋は近年架け替えられたもので、「平成9年12月竣工」とある。橋を通行する車も人の流れも多い。

町田駅に向かって帰路を辿ってもよかったのだが、時間に余裕があったので、境川左岸を少し下流側へ引き返してみることにした。境橋のすぐ下流側左岸に、川面近くまで降りてゆけるような場所が設けられている。降りてみると対岸側に体積した土砂と、それを再び浸食して流れてゆく川の様子がよく見える。
境川
河岸の舗道をもう少し下流側へと辿ってみた。せっかくだから「金森山市民の森」へ立ち寄ってみたいという気になった。河岸の舗道をしばらく下流側に向かう。河岸は家々の建ち並ぶ住宅街だが、その中を縫うように小さな水路が流れている。もしかすると、蛇行していた頃の旧境川の名残なのだろうか。川面を覗き込むと二羽のカワウの姿があった。魚を狙っているのか、カワウは水中に潜り、やがてすいぶんと離れた場所に姿を現した。魚を追って水中を飛ぶように泳ぐカワウの姿を思い描いてみた。カワウはやがて水面から飛翔し、上流へ向かって飛び去っていった。

金森山市民の森
しばらく歩いて、見当を付けて住宅街の中へ入り込んでゆくと、道の向こうにこんもりとした木立が見えた。林は住宅街に寄り添うようにしてひっそりと横たわっている。端の方に林の中への入口があり、「金森山市民の森」と書かれた案内板があった。「金森山市民の森」は規模は小さなものだが、端正に整備された印象なのが嬉しい。地元有志の方々の手によって大切に守られているのだろう。ちょうどこの頃に青空が戻り、日差しが戻った。林の中を木洩れ日を浴びながら歩くのは気分の良いものだ。周囲は静かで、樹上から鳥の声が聞こえてくる。
追記 「金森山市民の森」は2011年(平成23年)10月の条例改正により、「金森山ふるさとの森」に名称変更されている。その旨、読み替えられたい。
原町田青空ひろば
「金森山市民の森」を後にし、今度は住宅街の中の道を町田駅方面に向かって進む。住宅街の中に広場があった。「原町田青空ひろば」という名であるようだ。さきほど境橋から境川の左岸を下流側に歩いているとき、公園らしきものが見えたのだが、これがその公園であるようだ。まだ新しい公園であるように見える。地元の子どもたちの遊ぶ横を、駅方面へと人々が行き交っている。

町田駅前
原町田青空ひろば」から北へと住宅街の中の細道を辿ると、すぐに町田天満宮の横手に出た。天満宮は今はひっそりとしているが、ときおり立ち寄ってお参りしてゆく人の姿もある。天満宮から参宮橋を渡って横浜線の北側へと出て、町田駅へと向かった。町田駅の周辺は近年さらに大きな商業ビルなどが増え、以前にも増して賑やかになったという気がする。人々の雑踏も、これはこれで楽しい。
出がけには良いお天気だったのだが、途中曇りがちになってしまったのがちょっと残念だった。しかし河岸の散策はやはり楽しい。次の機会には境川河畔をさらに上流側へ、あるいは下流側へも歩いてみたい。そしてまた町田市金森地区の佇まいにも惹かれるものがあった。機会を設けて金森のあちらこちらを歩いてみたいという気がした。
境川河畔