第九十銀行は1878年(明治11年)に盛岡初の銀行として設立されている。この本店本館が建てられたのは1910年(明治43年)のことという。設計したのは盛岡出身で東京帝国大学建築学科に学んだ横濱勉。ロマネスクリバイバル式を取り入れた外観デザインは、明治期の重厚な様式からとは違って、大正期の建築を思わせる新しさが感じられるもので、まだ若かった横濱勉ならでは設計だったのだろう。
後年は所有者が変遷しつつ金融企業として営業を続けていたが1992年(平成4年)に閉館、盛岡市が「盛岡快適観光空間整備事業」の一環として改修を施し、2002年(平成14年)に「もりおか啄木・賢治青春館」として開館した。2004年(平成16年)には建築物としての価値が認められ、国の重要文化材に指定されている。
館内には第九十銀行に関する資料や設計者の横濱勉に関する資料などもパネル展示が行われている。近代建築に興味のある人なら見逃せない展示だろう。館内部の造作と共にじっくりと見学しておきたい。