神奈川県藤沢市の大庭城址公園は中世の山城跡を整備したもので、桜や藤、バラなど、季節の花々が美しい公園だ。早春には梅の花も楽しむことができる。梅が見頃の三月初旬、大庭城址公園を訪ねた。
三月を迎えても大庭城址公園はまだまだ冬枯れの風景だ。花見の名所として知られる大庭城址公園は、広場の周囲を中心に多くの桜があるが、それらもまだまだ冬枯れの姿で早春の風に吹かれている。そのような大庭城址公園で、春を招くように梅の花が咲く。
園内に設けられた「花の広場」の入口近く、「空濠」横手の園路脇に規模は小さいながらも梅林があり、早春の日差しを浴びて春の訪れを告げる。梅林に植えられた梅は10本ほどか。全て白梅だ。数は少ないが、日差しに輝いて咲き誇る様子は美しい。場所を変えて眺めれば梅林の表情も変わり、存分に早春の情趣を感じることができる。早春の青空を背景に見上げれば、白い梅の花の姿が清々しい。
「花の広場」の中央部辺り、藤棚の横手には薄紅の花を咲かせる梅がある。離れて見ると薄紅だが、近づいてみると意外に濃い色彩で、八重の花がなかなか美しい。
園内南側に位置する「城址広場」にも一本の梅がある。派手さはないが、広場の隅に立って咲く梅の姿が風趣に富んでいる。美しい景色である。
冬枯れの風景とは言っても常緑樹の多い大庭城址公園はそれほど殺風景な印象は無い。梅の香りに春の訪れを感じながらのんびりと園内を巡るのがお勧めだろう。観梅客の姿もほとんどなく、静かな園内で散策を楽しむことができる。“梅の名所”としてお勧めできるような公園とは言い難いが、静かで穏やかな空気感は魅力で、早春の散策を楽しむには良いところだと言っていい。
大庭城址公園の丘から南へ下りて、小糸川を渡れば舟地蔵公園という小公園がある。1.5haほどの面積の小さな公園だが、この舟地蔵公園の広場にも梅が咲いている。桜やケヤキなどが植えられた広場の一角に、ぽつんと一本の白梅が日差しを浴びている。その様子が何とも雅趣に富んでいる。見る角度によっては日差しに輝く姿がたいへんに美しい。たった一本だけで立っているからこその美しさだと言っていい。梅の季節に大庭城趾公園を訪れたなら、舟地蔵公園へも足を延ばしてみるのがお勧めだ。
本欄の内容は大庭城趾公園関連ページ共通です
大庭城趾公園の最寄り駅は小田急江ノ島線善行駅だが、公園まで2km以上の距離がある。藤沢駅や辻堂駅、小田急江ノ島線湘南台駅などからのバス路線を利用するのが賢明だろう。バス路線の詳細などは藤沢市サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)などを参照されたい。
車で訪れる場合は藤沢バイパス(国道1号)の「城南」交差点から県道43号を北上するのがわかりやすい。城南交差点から1.5kmほど北上し、舟地蔵交差点を過ぎると左手に公園がある。綾瀬市方面から来る場合も県道42号から県道43号へと辿るのがわかりやすいだろう。県道43号を南下し、藤沢変電所を過ぎた辺りで右手に公園の丘が見えてくる。
公園駐車場は公園西側に設けられているが、初めての人には場所がわかりにくいので注意されたい。駐車場は40台分近い駐車スペースがあるが、充分ではなく、行楽シーズンの休日には満車状態が続くようだ。余裕を持って出かけた方がいい。
桜の花期、お花見シーズンには公園駐車場は駐輪場と身障者用駐車場として利用され、一般の駐車はできない。臨時駐車場も用意されていないので、車での来園は避けた方がいい。
公園内にはレストランや売店などはない。近辺にも飲食店はほとんど無いので、お弁当持参での来園をお勧めする。コンビニエンスストアは公園南側、小糸川を渡った南側に2店ほどある。
公園周辺から少し離れれば、県道43号沿いや公園西側の「湘南ライフタウン」内に飲食店が点在している。
大庭城趾公園から県道43号を挟んだ東側、引地川の河畔に
引地川親水公園
がある。さらに引地川に沿って、河畔には水田の広がる田園風景も残っている。引地川河岸の散策に足を延ばしてみるのも楽しい。
大庭城趾公園の北西側、「湘南ライフタウン」内には裏門公園や二番構公園など、城跡を偲ばせる名の公園が点在している。それぞれ小さな公園だが、公園巡りを愉しむのも悪くない。
大庭城趾公園の紹介(藤沢市)
大庭城趾公園
桜咲く大庭城趾公園
紫陽花の咲く大庭城趾公園
引地川親水公園
河津桜の咲く引地川親水公園
桜咲く引地川親水公園
紫陽花の咲く引地川親水公園