桜咲く引地川親水公園（神奈川県藤沢市）

神奈川県藤沢市のほぼ中央部、引地川の河岸に引地川親水公園という公園が設けられている。その立地を活かして造られており、初夏から夏にかけては川遊びの子どもたちで賑わう公園だ。川に沿って細長い公園は、その河岸部分に桜並木が設けられており、春の花期には美しい景観を見せてくれる。お花見に訪れる人たちの姿も多く、桜が満開となった週末には大勢の花見客で終日賑わう。

引地川親水公園の桜並木は、公園の中心部と言える天神橋の袂から上流部、両岸に設けられている。桜並木は河岸を辿る舗道に沿って、舗道の両脇に設けられ、天神橋から公園北端部の大庭鷹匠橋まで、約800mほどの長さで延びている。天神橋の上から眺めれば優美な曲線を描く川の流路に沿って桜並木も美しい弧を描き、土砂が堆積して生じた河原には菜の花が咲き、麗かな春景色を見ることができる。

河岸の舗道を歩けば、舗道両脇に延びる桜並木の枝が頭上を覆って“桜のトンネル”と化し、春爛漫の散策を楽しむことができる。歩きながら視線を向ければ、対岸の桜並木が延びて美しく、両岸の桜並木が川に沿って続いてゆく風景が何とも素晴らしい。舗道には花見散歩の人たちが行き交い、桜の下ではシートを広げて花見を楽しむ人たちの姿がある。河原では気の早い親子連れが川遊びを楽しんでいる。そうした光景も桜の季節ならではの風情を漂わせている。

天神橋から河岸の舗道を辿って大庭鷹匠橋まで歩き、対岸へ渡って再び桜並木の中を天神橋まで戻る、というのが、引地川親水公園の桜並木を堪能する最もお勧めのコースだろう。桜の木はそれほど老木というわけではないが、充分に大きく育って枝を張り、見応えのある景観だ。のんびりと花見散策を楽しんだ後は、どこかに場所を見つけて桜を眺めながらのランチタイムが楽しい。

天神橋下流側左岸部には遊具類を設けた広場があるが、この広場にも桜が植えられている。この広場の桜は数は多くなく、疎らと言っていい景観だが、それが却ってのんびりとした春の風景を演出する。桜の下ではお花見に訪れた家族連れの姿があり、その横では子どもたちが遊んでいる。穏やかな春の休日を象徴するような光景だ。圧巻の景色を見せる桜並木ももちろん良いものだが、こうした穏やかな景観も素敵だ。

桜の時期の引地川親水公園はお花見目的に訪れても充分に期待に応えてくれる美しさだが、花見を兼ねた春の行楽として訪れても楽しい。周辺は緑濃い田園風景が広がっており、日々の喧噪から離れてのんびりとした春の休日を過ごすことができるだろう。近隣に暮らす人たちはもちろん、少し遠方から訪れても充分に楽しめる。お勧めである。

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引地川親水公園の最寄り駅は小田急江ノ島線善行駅だが、公園まで2kmほど歩かなくてはならない。藤沢駅や辻堂駅、小田急江ノ島線湘南台駅などからのバス路線を利用するのが得策だろう。最寄りのバス停は「天神社前」、バス路線の詳細などは藤沢市サイト（「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先）などを参照されたい。

車で訪れる場合は藤沢バイパス（国道1号）の「城南」交差点から県道43号を北上するのがわかりやすい。城南交差点から1.5kmほど北上し、丁字路の交差点を東へ折れれば公園駐車場がある。綾瀬市方面から来る場合も県道42号から県道43号へと辿るのがわかりやすいだろう。

公園には天神橋横と大庭遊水地の広場北側の二ヶ所に駐車場があり、合わせて100台分を超える駐車スペースがあるが、行楽シーズンの休日には足りないようだ。特に3月末から4月上旬のお花見シーズンのお昼頃には平日でも駐車場の空き待ちの列が並ぶ。余裕を持って出かけよう。

公園内にはレストランや売店などはない。河畔の立地の開放感溢れる公園だからお弁当持参でのピクニック感覚での来園がお勧めだ。

公園周辺には店舗などは少ないが、県道43号沿いにファミリーレストランがある。県道43号の西へ移動すれば「湘南ライフタウン」、主要道沿いに飲食店が点在している。

引地川に沿って、その河畔には水田の広がる田園風景が残っている。散策の足を延ばしてみるのも楽しい。

県道43号を挟んで西側には大庭城趾公園がある。木々に覆われた丘の上には芝生の広場などがある。大庭城趾公園の北西側には裏門公園や二番構公園など、城跡を偲ばせる名の公園が点在している。巡ってみるのも一興だろう。