東京都墨田区東向島の「向島百花園」は、1800年代の初期、いわゆる「文化文政期」に、骨董商を営んでいた佐原鞠塢(さはらきくう)という人物によって造園されたものだ。江戸の庶民文化が花開いた「文化文政期」、江戸で活動する文人墨客の協力を得て造られたという庭園は、これもまた時代を象徴するものかもしれない。そもそもは梅園として始まったということだが、やがてさまざまな草木が植えられ、四季折々に花を愛でることのできる庭園となっていったらしい。現在は東京都立の庭園で、江戸の町民文化を感じさせる庭園美が愛され、四季を通じて来園する人が絶えない。
四季折々の花を愉しむことのできる「向島百花園」、六月になれば花菖蒲や紫陽花が風情ある景観を見せる。花菖蒲も紫陽花も、特に「花菖蒲園」や「紫陽花園」のような場所が設けられているわけではない。それらは園内の随所に植えられ、あるいは鉢植えが展示され、風趣に富んだ庭園の景観に溶け込むように色彩を与えている。
四季折々の花を愉しむことのできる「向島百花園」、六月になれば花菖蒲や紫陽花が風情ある景観を見せる。花菖蒲も紫陽花も、特に「花菖蒲園」や「紫陽花園」のような場所が設けられているわけではない。それらは園内の随所に植えられ、あるいは鉢植えが展示され、風趣に富んだ庭園の景観に溶け込むように色彩を与えている。