東武線曳舟駅を東側に出て「曳舟川通り」を渡ると京島一丁目の町だ。東に少し行くと京成押上線の京成曳舟駅がある。ふたつの駅の周辺はさすがに再開発が進んでいるようで、「曳舟文化センター」や大きなマンションなどが建っている。京成線の踏切を渡って東南側へと歩を進め、都道465号を越えると南側に京島二丁目、北側に京島三丁目の町が広がる。
京島三丁目の町に入り込むと町の佇まいが一変すると言っていい。細い路地が絡み合うように入り組み、初めて訪れるとまるで迷路のようだ。途中で屈曲する路地は通り抜けられるのかどうかもわからない。その角で猫がのんびりと休んでいる。道脇には古い建物が建ち並ぶ。二階建ての住宅の二階の窓には申し合わせたように物干し台が設けられている。建物の前には植木鉢が並べられ、自転車が無造作に置かれている。町は基本的に住宅街だが、ところどころに個人商店が店を構えている。その店もずいぶんと昔から商いを続けている様子だ。今はもう商売をやめてしまったのか、シャッターを下ろしたままの店もある。小さな工場らしい建物の横には古い工作機械や廃材などが無造作に置かれたままになっている。町の一角には手動汲み上げ式のポンプがあった。その周囲が整備されているから、これは保存されているものなのだろう。歩いているとさまざまな発見があって楽しい。