東京都文京区本駒込の六義園は国の特別名勝にも指定された名園で、春の桜や秋の紅葉の名所として知られる。梅雨の季節になれば紫陽花が来園者を迎えてくれる。紫陽花が見頃の六月半ば、六義園を訪ねた。
紫陽花の咲く六義園
紫陽花の咲く六義園
六義園は江戸時代初期、五代将軍徳川綱吉に仕えた柳沢吉保によって造られた庭園だ。柳沢吉保自らが設計したという庭園は名園として知られ、国の特別名勝に指定されている。四季折々の花々も美しく、春の枝垂れ桜や初夏のツツジやサツキ、秋の紅葉などが特に見事で、見頃の時期には大勢の来園者を迎えている。

六月になれば紫陽花が咲く。六義園の紫陽花は数は多くはない。少ないと言っていいかもしれない。紫陽花は外周部の散策路脇にひっそりと咲いており、決して“庭園を彩る”というほどの規模ではない。紫陽花の咲く庭園の景観を目当てに訪れると拍子抜けするほどだ。しかし控えめにひっそりと咲く紫陽花の様子はそれなりに興趣のあるもので、そうした味わいを求めてか、訪れる人も少なくはない。
紫陽花の咲く六義園
紫陽花の咲く六義園
六義園の紫陽花はほとんどが日本古来のガクアジサイだ。西洋アジサイもないわけではないが、数は極めて少ない。ガクアジサイを主体とした植栽は六義園に相応しいものだろう。六義園には辺り一面を埋め尽くすような西洋アジサイより、木々の下でひっそりと咲くガクアジサイの姿がよく似合う。ガクアジサイの咲く園路を歩けば、まるで野生種の紫陽花が咲く山道を歩くかのような味わいもある。そうした興趣を味わいながら、ゆったりと園内を巡るのがいい。訪れた日は晴天の日だったが、雨の日の方がより風情があったかもしれない。
紫陽花の咲く六義園
紫陽花の咲く季節、六義園は滴るような緑に覆われている。ところどころにサツキの花も残っている。鮮やかな緑に包まれて初夏の陽光を浴びる六義園はたいへんに美しい。紫陽花を愛でつつ、この季節ならでは六義園の表情を楽しむのがお勧めだろう。
紫陽花の咲く六義園
参考情報
本欄の内容は六義園関連ページ共通です
六義園は入場料が必要だ。またペット連れの入園はできない。料金や開園時間など、詳細については東京都公園協会のサイト(「関連するウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通
六義園にはJR山手線駒込駅、東京メトロ南北線駒込駅が近く、徒歩で数分といったところだ。都営三田線千石駅からも徒歩で十分前後と、これも歩くのが苦になるほどの距離ではない。

駐車場は設けられておらず、車で来園するなら近辺に点在する民間駐車場を利用しなくてはならないが、小規模のものがほとんどだ。車での来園はお勧めしない。

飲食
園内には本格的な食事のできるレストランなどはない。「吹上茶屋」では抹茶や和菓子などを扱っており、また「出汐の湊」近くの休憩所を兼ねた売店でも飲み物などを販売しているから、ちょっとした一休みのティータイムを楽しむのは可能だ。ツツジや紅葉の季節など、来園者の多い時期には特設の売店や休憩所も設けられるようだ。

園内には随所にベンチが設けられており、ベンチに腰を下ろしておにぎりを頬張るなどの簡単な食事は可能だが、園内は敷物やアルコール類の持ち込みは禁止とのことで、通常の公園のように木陰にシートを広げてお弁当を食べるという楽しみ方はできない。

外に出れば駒込駅近くにさまざまな飲食店が点在しているから、それらを利用するのもいい。

周辺
公園東側の本郷通りを北へ20分ほど歩くと旧古河庭園がある。少し距離があるが併せて訪ねてみるといい。六義園と旧古河庭園の双方に入園できる「園結びチケット」というものも販売されており、これを購入すれば別々に入園料を支払うより割安になる。

旧古河庭園の南側には霜降銀座商店街という下町風情漂う商店街がある。商店街散歩の好きな人なら訪ねてみたい。
紫陽花散歩
東京23区散歩