アーチをくぐって霜降銀座に足を踏み入れると、その道の狭さに少し驚く。霜降銀座商店街公式サイトによれば、この道は、かつて谷田川という川だったそうだ。1931年(昭和6年)から1940年(昭和15年)にかけて谷田川を暗渠にする工事が行われ、暗渠となった川の上には新しい道路が造られた。その道路沿いに次第に商店が増えてゆき、やがて1951年(昭和26年)、霜降銀座栄会が組織され、霜降銀座商店街としての形ができあがった。それから六十年余、商店街に軒を構える店舗は代替わりしつつ存続し、今も古き佳き商店街の風情を漂わせている。
霜降銀座商店街は長さ250mほど、公式サイトによれば2014年(平成26年)11月現在で店舗数58だそうである。道幅は3〜4mほど、もちろん歩行者と自転車専用で、一般車両は通行不可だ。
商店街にはさまざまな店が並んでいる。衣料品店、眼鏡店、宝飾店、靴店、鞄店、書店、花屋、雑貨店、電気店、美容院、歯科医、接骨院、化粧品店、鮮魚店、精肉店、八百屋、和菓子店、洋菓子店、パン屋、蕎麦屋、洋食屋、紅茶専門の喫茶店等々、ありとあらゆる店があると言ってもあながち過言ではないが、特に衣料品関連の店と生鮮食品の店が多いのは下町の商店街らしいところか。そのほとんどは個人商店のようだ。まだ開業して日の浅い店舗もあるようだが、中には1940年代、谷田川が暗渠となって道が造られて間もない頃に開業した店舗もあるという。
それらの店々がまるで“肩を寄せ合う”ように軒を並べる。狭い道だから向かい合う店と店との距離も近い。それぞれの店には商品が雑然と陳列され、中には道にはみ出すように商品を陳列している店もあって、ただでさえ狭い道がさらに狭くなっているところもある。その中を買い物客が行き交う。人と人とのすれ違いにも気を遣うほどの狭さだが、そんなところも庶民的な商店街の魅力のひとつだろう。