宮崎を代表する観光地として名高い
青島の傍らから、西へ向けて砂浜が孤を描いている。その砂浜の青島寄りの一角が青島海水浴場で、毎年夏になると多くの海水浴客が訪れて賑わっている。青島海水浴場はおそらく宮崎県内の海水浴場の中で最も有名なものだろう。
青島から青島海水浴場、さらに隣接する「こどものくに」を含めた周辺の一帯がひとつの観光地、行楽地として認知されている側面もある。
昔から近隣の人々に親しまれてきた海水浴場だが、昭和40年代に日南海岸が新婚旅行先として人気を集めてからはその知名度は一気に全国的なものになったと言ってよいだろう。「新婚旅行ブーム」は去ってその頃の賑わいも失せてしまったが、県内随一の海水浴場としての地位は揺るがず、今でも観光を兼ねて訪れる海水浴客は多い。近年ではボードセイリングや水上バイクを楽しむ人たちの姿もあり、海水浴場としてだけでなく総合的なマリンレジャーの拠点としての様相を呈している。
宮崎を代表する海水浴場の名に相応しく、青島海水浴場は美しく整備され、いかにも観光地然とした雰囲気がある。浜辺の背後には観光客向けのホテルが建ち並び、宿泊客はホテルから直接ビーチへとやってくる。ホテル群と浜辺の間には遊歩道が整備され、植栽されたワシントン椰子などの木々が南国の風情を醸している。砂浜にはビーチパラソルが規則正しく立てられている。朝のまだ海水浴客の少ない時刻には、無人のパラソルの描く幾何学的な色彩の美しさが際だつ。
浜辺からは東に間近に青島の姿が見える。西は緩やかに孤を描いて砂浜が延び、その背景にホテルの白い建物や「こどものくに」の施設などが見えている。かつては「こどものくに」内の観覧車が印象的な姿を見せていたものだが、老朽化のために撤去されて今は無い。砂浜はさらに大きく曲線を描いて北へ延び、その向こうに宮崎市街方面の景色が遠く霞んでいる。浜辺は大らかで開放的な雰囲気に溢れ、ワシントン椰子の高みで風に揺れる葉の様子ものんびりとした夏の日に似合う。海水浴を楽しむというより、こうした雰囲気の中で過ごす夏の休日を楽しむために訪れる人も少なくないのではないだろうか。
JR日南線の青島駅から至近だが、今では鉄道を使って訪れる人も少ないだろう。近辺には民間の有料駐車場が多く用意され、シーズン中でも駐車に困ることはあまりない。県外からの観光客の立場であれば、近辺のホテルなどに宿泊し、青島観光や「こどものくに」での行楽も含めて、夏の休日を過ごすのにお薦めだ。