県道377号から
青島へ向かう道の途中、向かって右側に「宮交ボタニックガーデン青島」という施設がある。一般財団法人みやざき公園協会が指定管理者となって管理する施設で、正式には「県立青島亜熱帯植物園」という。2015年(平成27年)にネーミングライツが導入され、宮交ホールディングス株式会社がスポンサーとなって2016年(平成28年)4月から「宮交ボタニックガーデン青島」の愛称で運用されているものだ。
青島亜熱帯植物園は1965年(昭和40年)に開設、翌年に大温室が完成し、1967年(昭和42年)に開園した。開園時にシンガポール植物園と姉妹植物園の締結も行っている。それから青島周辺の観光名所のひとつとして長く親しまれてきたが、やがて大温室などの施設も老朽化、改修の必要に迫られた。そこで県は2015年(平成27年)にネーミングライツ・スポンサーを募集、「南国情緒あふれる青島の花やみどりを楽しめる体験型の植物園の創出」をテーマに園内の再整備を実施、2016年(平成28年)4月に「宮交ボタニックガーデン青島」としてリニューアル・オープンしたというわけだ。
「宮交ボタニックガーデン青島」は本来が「亜熱帯植物園」であるから、園内には所狭しと亜熱帯の植物が植栽されている。
青島に数多く自生するビロウを筆頭に、フェニックス、女王ヤシ、ナツメヤシなど、17種類のヤシ科の植物が植えられているという。その下ではハイビスカスやブーゲンビリア、ジャカランダ、アメリカデイゴなどが彩りを添える。さらに大温室の中では世界各地の熱帯性植物を見ることができる。
そもそも青島にはビロウをはじめとする亜熱帯の植物が繁茂し、島内全域が「青島亜熱帯性植物群落」として国の特別天然記念物に指定されている。しかし(「宮交ボタニックガーデン青島」のサイトによれば)1955年(昭和30年)頃、盗採や火災が頻発し、そのために島内の自由な探勝が禁止されてしまったという。その代わりというわけでもないのだろうが、学術研究や自然教育の場として「青島亜熱帯植物園」が設置されたという経緯であるらしい。当初の「青島亜熱帯植物園」は、そうした“学習の場”的な雰囲気の濃い施設だったが、やはりそれだけでは来園者に訴求する魅力を保ち続けることは難しかったのだろう。リニューアルが成された「宮交ボタニックガーデン青島」は、本来の“学習の場”としての役割を担いつつも、リゾート感溢れる観光名所として生まれ変わったように思える。
さまざまな亜熱帯性の植物が植えられた園内を巡れば、気分はすっかり南国リゾートだ。ハイビスカスやブーゲンビリアが鮮やかな花を咲かせ、見上げれば夏空を背景に椰子の木が風に揺れる。海岸に出れば左手に
青島が浮かび、潮風に吹かれながら海を眺めて過ごすのも素敵なひとときだ。「宮交ボタニックガーデン青島」の南側には「青島参道南広場」という広場が「宮交ボタニックガーデン青島」の一部であるかのように隣接しており、両者が一体化してリゾート感覚溢れる施設が創出されていると言っていい。大温室の横手には「パラボラチョカフェ」というカフェも併設しており、トロピカルなドリンクやスイーツを楽しみながらのんびりと一休みするのもいい。
「宮交ボタニックガーデン青島」は
青島を訪れたときには絶対に立ち寄っておきたい場所のひとつであるし、「宮交ボタニックガーデン青島」そのものが観光の対象になり得る魅力を持った施設だ。お勧めである。