横浜線沿線散歩公園探訪
八王子市片倉町
−片倉城跡公園−
新緑の片倉城跡公園
Visited in April 2023
新緑の片倉城跡公園
四月の下旬、片倉城跡公園は瑞々しい新緑に覆われ、ヤマブキソウやフジなど、さまざまな春の花が見頃を迎える。自然豊かな片倉城跡公園が最も美しい姿を見せる季節だと言っていい。木々の新緑に包まれて、春の花を楽しみながらの散策は素敵なひとときだ。
新緑の片倉城跡公園 国道16号に面した入口から園内に入ると数々の彫刻作品を展示した「彫刻広場」だ。その「彫刻広場」の中央にヒトツバタゴの木が植えられている。ヒトツバタゴはモクセイ科の樹木で、ナンジャモンジャノキとも呼ばれる。「ナンジャモンジャ」とは名のわからない大木を指す通称で、特定の樹種を指す呼称ではないのだが、通常「ナンジャモンジャノキ」と言えば、このヒトツバタゴを指すことが多いようだ。

ヒトツバタゴは通常は5月頃に花を咲かせるが、今年(2023年)は開花が早く、四月の下旬には満開に近い状態だった。白い花が新緑に混じって春の青空に映えていた。

新緑の片倉城跡公園 「彫刻広場」から丘の裾を辿って園路が奥へと延びている。園路脇は湿地で、池や花菖蒲田などが設けられている。花菖蒲田では花菖蒲が育成され、六月には美しい景観を見せてくれる

園路脇にはセイヨウシャクナゲが咲きいて艶やかな姿を見せている。歩きながら足下をよく見てみればニリンソウやセリバヒエンソウ、ムラサキサギゴケなどを花を見つけることができる。どれも小さな花で、漫然と歩いていると見落としてしまいそうになるが、ゆっくりと歩いてそうした花々の可憐な姿もぜひ見ておきたい。
新緑の片倉城跡公園 片倉城跡公園の西側に奥まったところには「奥の沢」と呼ばれる小谷戸がある。その「奥の沢」と呼ばれる小谷戸を囲む斜面には早春にはカタクリが咲き誇り、多くの来園者を迎える。カタクリの花期が終わって四月中旬頃になると、同じ場所を今度はヤマブキソウが埋め尽くす。

ヤマブキソウは花の姿がヤマブキに似ていることからその名で呼ばれるが、ヤマブキとはまったく異なる植物だ。ヤマブキソウはカタクリと同様に樹林の中の比較的明るい場所を好む植物で、この片倉城跡公園でもほぼ同じ場所に群生しているようだ。

新緑の片倉城跡公園 訪れたときは少し盛りを過ぎた頃だった。今年(2023年)はあらゆる花の開花が早かったが、ヤマブキソウも例外ではなく、例年より早く見頃を迎えていたようだ。それでも鮮やかな黄色い花が樹林地の斜面に咲き誇る光景は素晴らしい。

花の黄色と葉の緑色とが合わさって遠目に見ると斜面全体が鮮やかな黄緑色に見える。遠くからその眺めを楽しむのもいいし、間近から花の姿に見入るのもいい。花の好きな人、花の写真の趣味の人なら一度は訪れてみるべきだろうと思える。
新緑の片倉城跡公園 この季節、園内のあちこちで藤の花を見つけることができる。「彫刻広場」から「奥の沢」へと向かう園路脇、樹林の中で他の木々に混じって藤があり、新緑の中に薄紫の花を咲かせている。藤に巻き付かれた樹木としては受難と言っていいが、藤としても命の営みである。

「二の丸広場」の広場脇には藤棚が設けられている。藤棚の下にはテーブルとベンチが設置されている。咲き誇るフジの花を眺めながらランチタイムを楽しむのもいいものだ。「本丸広場」の東南側、広場を囲む樹林の中にも藤がある。野趣溢れる見事な姿だ。
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この季節の片倉城跡公園はヤマブキソウや藤をはじめ、さまざまな春の花を楽しむことができて、花の好きな人にはお勧めだ。しかし、いちばんの魅力はやはり瑞々しい新緑だろう。さまざまな色調の緑の競演のような林の中を歩けば何とも清々しい気分になる。そこへ季節の花々が美しい色彩を添えてくれる。春から初夏へと移ってゆく季節の息吹を感じながらの散策が楽しい。
新緑の片倉城跡公園
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