八王子市片倉町
片倉城跡公園
Visited in June 2020
八王子市の中心市街の南方、片倉町に位置して片倉城跡公園という公園がある。その名が示す通り、片倉城跡の丘を整備して公園としたもので、1972年(昭和47年)に開園している。園内には鬱蒼と木々が茂り、林の中を縫うように園路が辿っている。丘の麓には湧水もあり、湧水を集めた湿地や池もある。豊かな自然を身近に楽しめる場所して広く市民に愛される公園だ。
八王子市は「彫刻のまちづくり」を謳い、「彫刻を設置し、都市空間を利用したオープンギャラリーとする」「彫刻をとおした市民のコミュニケーションを図る」ことを目的とした“まちづくり”を行ってきた。「彫刻のまちづくり」は1978年(昭和53年)にスタートし、1998年(平成10年)に設置数100基を達成して終了した。現在は103基が設置され、その保存と活用が継続している。「彫刻のまちづくり」では市内の公園や駅の周辺、文化施設などに彫刻が設置されたが、片倉城跡公園に展示された彫刻もその活動の一環によるものだ。
境内は深い木立に囲まれて神域らしい静けさに包まれており、とてもすぐ下を国道16号が通っているとは思えない。普段はほとんど人の姿も無いが、ときおり参拝に訪れる地元の人の姿を見ることがある。散策の途中で立ち寄って参拝しておくのもいいだろう。
「本丸広場」は木立に囲まれてひっそりとした印象だが、「二の丸広場」は「本丸広場」より広く、さらに北西側が開けているために開放感がある。レジャーシートを広げてピクニック気分でランチタイムを過ごすには絶好の広場だ。それぞれの広場の外縁部には桜が植えてあり、春には見事な景観が楽しめる。地元では“お花見の名所”として知られ、桜が見頃を迎える頃には花見客で賑わうところだ。
「二の丸広場」から西に出ると丘陵地の上に畑地の風景が広がる。それらの畑地は私有地だが、脇の小径を辿れば片倉つどいの森公園も近い。片倉つどいの森公園は2010年(平成22年)4月に開園、開放感溢れる丘の上の広場が人気を集めている。片倉城跡公園から歩いてもほんの数分、余裕があれば併せて訪ねてみるのもお勧めだ。
この雑木林は早春にはカタクリ、新緑の頃にはヤマブキソウ、さらに夏を迎える頃にはヤマユリが咲き誇り、名所として知られている。それぞれの花期に訪れてみるのもお勧めだ。
池の中には鯉の姿もある。睡蓮の花と、その下を悠然と泳ぐ鯉も組み合わせもなかなか風情のあるものだ。湿地の中を横切る木道などの遊歩道も整備されており、気持ちの良い散策を楽しむことができる。脇にはベンチを設えた東屋や、奥の方には水車小屋などもあり、穏やかなひとときを過ごすことができるだろう。この湿地部分では5月下旬から6月にかけては花菖蒲や睡蓮の花を楽しむことができる。
広場の河岸側、河岸の舗道に沿ってソメイヨシノが並んでいる。公園が拡張された際に植栽されたもので、現在は大きく育って春には見事な景観を見せてくれる。お花見を楽しむ人たちの多いところだ。
片倉城跡公園は八王子市の市街地から比較的近く、またJR横浜線の片倉駅や京王高尾線の京王片倉駅からも徒歩圏内という立地の良さも手伝ってか、四季を問わず多くの来園者を迎えている。中世の山城跡という由緒や、四季折々の花々が楽しめる点など、少し遠方からでも訪れる価値のある公園だと言っていい。それぞれの花が見頃となる時期に、何度も訪れたくなる公園である。
片倉城跡公園には来園者用駐車場が設けられているが、優先スペース2台分を含む22台分と、公園の規模に対して決して充分とは言えない。前述したように駅から歩ける距離なので電車での来園をお勧めする。
片倉城跡公園には来園者用駐車場が設けられているが、優先スペース2台分を含む22台分と、公園の規模に対して決して充分とは言えない。前述したように駅から歩ける距離なので電車での来園をお勧めする。