八王子市片倉町
−片倉城跡公園−
花菖蒲の咲く片倉城跡公園
Visited in June 2020
八王子市片倉町の片倉城跡公園は四季折々に花々の楽しめる公園だが、六月には花菖蒲が美しい。雑木林の丘の北側、湧き水を集めた湿地に菖蒲田や湿性野草園が造られており、そこで花菖蒲が育てられている。規模の点では大きくはないが、緑濃い園内の風景の中で見る花菖蒲は風趣に富んで素晴らしい。
「湿性野草園」で花菖蒲を見ることができる。小さな花菖蒲田の周囲を小径が巡り、間近に鑑賞できるのが嬉しい。見る場所によって表情が違って味わいも異なるが、北側から公園の木々を背景に見る風景がとりわけ美しい。ゆっくり時間をかけて花菖蒲の美しさを楽しみたい。
睡蓮はスイレン科スイレン属の水生植物で、40種ほどの種類があり、熱帯スイレンと温帯スイレンに大別される。ハス(蓮)と混同されることもあるが、ハスはハス科ハス属の別の植物である。ちなみにハスは水面から高い場所に花を咲かせるが、スイレンは水面か水面近くに花を咲かせるので、区別が容易だ。
睡蓮の花期は5〜10月頃で、ちょうど花菖蒲が見頃を迎える頃から咲き始める。花菖蒲と共に睡蓮の花も楽しんでおきたい。
最も奥まったところ、水車小屋の前辺りは花数も多く、「奥の沢」の風景を背負って景観も美しく特に見応えがある。水車小屋と花菖蒲との組み合わせも日本情緒が漂い、なかなか風趣に富んだ景観だ。菖蒲田には木道も設けられ、菖蒲田を区切る畦には歩くことのできるものもあるから、時間をかけて花菖蒲田を巡って景観を楽しむのがお勧めだ。
片倉城跡公園の花菖蒲は、規模や花数から言えば残念ながら「花菖蒲の名所」と言えるほどではない。特に品種名を記したプレートなどは設置されていないから、品種にこだわって花菖蒲を楽しみたい人には少し物足りないかもしれない。しかし雑木林の丘の麓にひっそりと咲き誇る景観には良い風情があり、「花菖蒲の咲く風景」を楽しみたい人なら充分に楽しめるだろう。梅雨の晴れ間の日を浴びて咲く花菖蒲も美しく、曇天や雨天の日にはしっとりとした梅雨の風情が楽しめるだろう。梅雨の時期の公園散歩にはお勧めである。