横浜線沿線散歩公園探訪
多摩市落合
宝野公園
Visited in July 2023
宝野公園
多摩市落合の西側中央部に宝野公園という公園がある。1982年(昭和57年)に供用開始となった公園で、3haを超える面積を有する「近隣公園」だ。園内北側にはグラウンドがあり、南側は桜並木が有名な富士見通りだ。鶴牧の奈良原公園と道路を隔てて隣り合い、ほぼ一体化している印象もある。桜の季節には花見の人たちで賑わうが、他の季節には静かなニュータウンの緑地帯である。
宝野公園 多摩中央公園の南西側の端から桜美林大学施設の傍らを通り抜け、住宅の並ぶ中に延びる美しい舗道を歩いてゆくと、やがてアーチ状になった門のようなオブジェが現れる。上部には「宝野公園」と書かれている。オブジェはまさに宝野公園の“門”であるのかもしれない。“門”をくぐれば宝野公園だ。

“門”の周辺はちょっとした広場のようになっている。その一角に恐竜を象ったと思われる鉄製のオブジェがある。台座部分の脇に排水口があるところを見ると、もともとは水道が設置されていたものか。

宝野公園 公園の北側部分を占めてグラウンドが眼前に横たわっている。グラウンドでは、付近の学生なのか、サッカーの練習風景をよく見かけることも少なくない。

グラウンドの北側には木立を配したスペースがあり、木々に囲まれてわずかに遊具も置かれている。決して広くはないが、緑の木々が住宅街の中に潤いを与えてくれているようでもある。

公園の西側には「西落通り」が南北に通っている。西落通りは八重桜の並木になっており、四月の中旬から下旬にかけて美しい景観を見せる。

宝野公園 グラウンドの南側には芝生の広場を中央に抱えた二本の舗道が平行してほぼ東西に延びている。広場の両脇の舗道のそれぞれが桜並木で、春には見事な景観を見せる。この桜並木は富士見通りの名で桜の名所として知られ、毎年多くの花見客を迎えている。七月下旬、桜並木は深い緑に茂り、根方に植えられたオニユリが花を咲かせていた。

宝野公園のおよそ3haという面積を考えれば、富士見通りを構成する芝生の広場と桜並木の舗道も宝野公園の一部のようだ。富士見通りは西へ延び、多摩モノレール通り (都道156号町田日野線)を歩道橋で跨いで鶴牧の町へと続き、奈良原公園へと繋がりあっている。

宝野公園 富士見通りを構成する広場の東端部にはコンクリート製のガゼボ(洋風四阿)が設けられている。ガゼボ付近から西を見れば一直線に延びる広場と桜並木の舗道の景観が美しい。

この富士見通りは「ほぼ東西に延びる」と前述したが、正確に言えば西側では少し南寄り、東側では少し北寄り、すなわち西南西から東北東の方角へ延びている。その西側の延長上には富士山がある。直線距離にして約70km、意外に近い。天候に恵まれれば、富士見通りの延長方向に、その名の通り、富士山の頂を見ることができる。
宝野公園
宝野公園は独立した一つの公園としての存在感は希薄で、住宅街の中を辿る舗道も緑に溢れ、どこまでが公園でどこからが舗道であるのかも判然としない。宝野公園北西側の“門”の前から西へ延びる舗道を辿れば「いちょう橋」で多摩モノレール通り を跨いで鶴牧東公園へと至り、富士見通り側では同じく多摩モノレール通りを二本の人道橋が跨いで鶴牧の奈良原公園と繋がり会っている。そのように繋がりあった複数の公園が全体で一つの公園として成り立っているようでもある。小さな公園が有機的に繋がり合ってできた大きな公園の中に住宅街が広がっている。そのような印象が素敵だ。

宝野公園には西側の西落通り沿いに来園者用駐車場が設けられているが、駐車スペースは8台分と少ない。散策目的で訪れるなら多摩センターから向かうのがお勧めだ。
宝野公園
宝野公園
宝野公園