多摩市鶴牧〜永山
唐木田から永山へ
Visited in October 2009
十月半ばのよく晴れた日、多摩ニュータウンへ出かけた。小田急多摩線唐木田駅から東へ向かい、永山駅を目指す。多摩ニュータウン内の一部を歩いたことは何度もあるが、多摩ニュータウンのもっと広い範囲を歩いてみたいと思っていた。特に唐木田駅から永山駅まで(逆でもよいが)、点在する公園や緑道などを辿りながら、多摩市内の多摩ニュータウン域を横断するように歩いてみたいと以前から思っていたのだった。
小田急多摩線唐木田駅を降りた。唐木田駅の西方に
多摩市唐木田の街並みが広がっている。駅前を東西に延びる道路には「唐木田通り」の名がある。駅前には大きなホームセンターが建っている。駅前は小広場のようになっており、脇の方に唐木田地区の歴史や地名の言い伝えなどを記した案内板が設置されている。この案内板の上部はオブジェになっていて面白い。また「唐木田通り」脇には駅を見据えるように若い女性の彫像が立っている。この像は唐木田駅前のシンボルのような存在と言っていいのではないかと思う。
「唐木田通り」を東へ向かうとすぐに「唐木田駅入口」交差点だ。交差する道路は都道158号線、多摩ニュータウン通りとの「島田療育センター入口」交差点と尾根幹線との「多摩市総合福祉センター前」とを繋いでいる。この道路はモミジバフウの並木だ。並木に沿って少し北へ、緩やかな下り坂を下りてゆこう。200メートルほど進むと
二反田公園という小公園がある。広場を中心に、遊具類を置いた公園だが、園内には桜の木が多く、春には美しい景観を見せてくれる。
二反田公園前の交差点で都道158号線を横断し、東側へ入り込んでゆくと
鶴牧西公園だ。ちょうど公園の西端部辺り、昔の農家を模して造られた休憩施設の横から園内に入って行ける。北側はシダレザクラが有名な川井家の敷地だ。雛壇状に造られた「果樹の谷」を抜けて坂を上ると、さきほどの「唐木田駅入口」交差点から東側の鶴牧六丁目の住宅街に入り込む道路に出る。この道路はハナミズキの並木で、今がちょうど紅葉の時期だ。ハナミズキの紅葉は一般的にはそれほど美しいものではないが、逆光に照らされると角度によってはたいへんに美しい姿を見せてくれる。
駐車場脇から再び公園内に戻り、「みどりの広場」の脇を抜けていこう。どこかの小学校の遠足なのだろうか、広場ではところどころに子どもたちが集まってどうやらお弁当の時間だ。園内の木々もそろそろ秋の色に染まり始めている。鶴牧西公園の東端部から人道橋を渡って南へ進むと
鶴牧東公園だ。小高い丘が特徴的な公園だが、こちらの公園でも小学生の姿があった。こちらは遠足というよりも校外学習のようなものだろうか。鶴牧東公園を南へ通り抜けると「メタセコイア通り」を人道橋で渡る。「メタセコイア通り」はその名のようにメタセコイア並木で、
晩秋には美しい紅葉を見せてくれるが、今はまだ紅葉には早く、青々とした姿だ。
「メタセコイア通り」を越えると
奈良原公園だ。
桜の並木も今はすっかり落葉し、冬支度を整えている。テニスコート横の道を南へ辿ってゆこう。花壇の整備された美しい佇まいの舗道が延びている。ところどころにベンチも置かれている。多摩市アダプト制度に基づいて「マロニエ径の会」という団体が舗道の整備を行っているようだ。多摩市では市民団体や学校、企業などが道路や公園などの一定区域について整備や緑化などの活動を行う「アダプト制度」を設け、数多くの団体が参加している。ここもそうしたもののひとつのようだ。
そのまま舗道を南へ辿るとやがて橋を渡り、別の舗道へ至る。この舗道には「そよかぜのみち」の名がある。「そよかぜのみち」を東へ向かう。またすぐに橋を渡る。橋の名は「はなみずき橋」だ。その名からわかるように「そよかぜのみち」はハナミズキの並木になっている。ハナミズキはほとんど落葉し、赤い小さな実をつけている。見上げると真っ青に澄んだ秋空を背景に見るハナミズキの赤い実がなかなか美しい。「そよかぜのみち」を東へ進むと鶴牧商店街だ。スーパーや郵便局などが並んでいる。
鶴牧商店街を抜けると広い都道156号線を人道橋で渡る。都道156号線の東側は落合の街だ。そのまま東へ進もう。少し曲がりながら住宅街の中を進むと舗道の交差する場所がある。ここから南へ折れて200メートルほど行くと
荻久保公園、北へ折れると同じくらいの距離で
宝野公園だが、今回は立ち寄らずに東へ進もう。すぐに「るんるん橋」という人道橋がある。
この付近は10年ほど前の秋の日に歩いたことがあった。あの時と少しルートが重なるが、そのまま「るんるん橋」を渡ってゆこう。
「るんるん橋」を渡った先は美しいケヤキ並木だ。ケヤキもそろそろ紅葉の準備を始めている。並木道の脇からキンモクセイが香る。やがて舗道の交差点となった場所があるが、まっすぐに進もう。並木道を抜けると「恐竜橋」、恐竜を象った金属製のオブジェが設置されている。この辺りには「るんるん橋」や「恐竜橋」といった楽しい名前の橋があるが、公募によって決められたものかもしれない。落合中学校の南側を辿ってゆくと丁字路の交差点がある。角には
落合第三公園がある。
落合第三公園の丁字路を南へ折れて進む。ここでもキンモクセイが道脇に植えられており、香りが漂ってくる。「せいとく幼稚園」の横を抜けると「落合第四歩道橋」を渡る。そのまま進み、
落合第四公園の横を抜けてゆくと、舗道の西側に南落合小学校の跡地がある。南落合小学校は1999年(平成11年)に北落合小学校と統合され、東落合小学校となった。南落合小学校の跡地には東京医療学院大学が建つようだ。平成21年11月1日着工との旨が記されている。もうすぐだ。南落合小学校の校舎も見納めということか。写真に収めてゆこう。
南落合小学校跡地の横を過ぎると一本杉橋が尾根幹線を跨いで
落合四丁目と
一本杉公園とを繋いでいる。一本杉公園を一回りしてゆこう。一本杉公園の木々もそろそろ紅葉に染まり始めている。カリンの木には大きな実が実っていた。園内をのんびりと歩いた後は公園東端部から恵泉女学園大学の横へ出る。一本杉通りを横切り、住宅街の中の道を北へ進むと、一本杉橋の300メートルほど東で尾根幹線を跨ぐ歩道橋がある。これを渡って豊ヶ丘六丁目へ進もう。
尾根幹線の広い中央分離帯にはびっしりとススキが生い茂っている。豊ヶ丘側から見ると逆光を照り返してススキが輝く。その様子がとても美しい。豊ヶ丘六丁目の南端部、尾根幹線に沿うように歩道橋の袂に
豊ヶ丘第七公園が横たわる。木立の中に広場を設け、遊具が少し置かれている。豊ヶ丘第七公園の西側は南豊ヶ丘小学校だ。公園と小学校との間の舗道を北へ辿る。舗道には「豊ヶ丘スクールロード」の名がある。舗道沿いに学校が多いのだろう。少し進むと舗道の東側には青陵中学校がある。
青陵中学校の横を抜けて北へ進むと「なかよしこみち」と名付けられた舗道と交差する。「なかよしこみち」と記された名標には「貝取四丁目」と「落合四丁目」が指し示されている。両者を繋ぐように東西に延びているのだ。「豊ヶ丘スクールロード」をさらに北へ向かえば100メートルほどで
豊ヶ丘南公園だが、今回は立ち寄らずに「なかよしこみち」を東へ向かおう。
「なかよしこみち」を東へ辿ると商店街だ。豊ヶ丘四丁目から橋で繋いで貝取四丁目まで、まっすぐに商店街が延びている。「豊ヶ丘貝取商店街」という名があるようだ。商店街を通り抜け、貝取郵便局と貝取第七公園とが向かい合うところで北へ折れる。「貝取こぶし館」という愛称の付けられたコミュニティセンターの横を抜けると
貝取南公園だ。貝取南公園の東側の外縁部を北へ通り抜けると多摩ニュータウン内では珍しく、車両の通行のある一般路の交差点に出た。「貝取南公園通り」と「貝取こぶし通り」とが丁字路を成す交差点だ。
交差点の北西側の角から舗道が延びている。その舗道を北へ辿ろう。「貝取こぶし通り」に沿うように延びる舗道で、桜並木のようだ。春には美しい景観が見られることだろう。歩いて行くと南貝取小学校の北側で別の舗道と合流した。このまま北へ辿ろう。「貝取さんぽ道」を記された名標が設置されている。「貝取さんぽ道」を北へ進んでゆくとやがて貝取第四公園の横へ出た。そこから東へ折れると
貝取北公園だ。貝取北公園の広場で子どもたちが遊んでいる。貝取北公園の南側を東へ進むと鎌倉街道を歩道橋が跨ぐ。
瓜生緑地北端部の池を右手に見ながら歩道橋を渡ると永山だ。
秋の日は傾くのが早い。途中でのんびりしすぎたせいか、そろそろ辺りは夕闇が迫って薄暗くなってきた。先を急ぐことにしよう。瓜生緑地の北側からまっすぐに東へ進む。舗道には「諏訪永山ふれあいの道」の名がある。数百メートル進むと永山南公園だ。永山南公園から北へ向かう。まっすぐに延びる舗道を進み、一般路を歩道橋で越え、多摩永山中学校の東側を抜けると
永山北公園だ。永山北公園の北側はもうすでに
永山駅だ。小田急永山駅と京王永山駅が並ぶ。永山駅の周辺は商業施設が建ち並んで繁華な佇まいだ。永山駅から、そろそろ帰路を辿ることにしよう。
唐木田駅から永山駅まで、多摩ニュータウン内の舗道を辿ってみたいと以前から思っていたから、楽しい散策だった。最初の方でのんびりしすぎて後半はやや急ぎ足になってしまったのが、少しばかり残念なところか。次の機会には新緑の季節などを選んで永山や貝取の街をのんびり歩いてみることにしよう。