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八王子市
第42回八王子まつり
August 2002
第42回八王子まつり
第42回八王子まつりは2002年8月2日(金曜日)から4日(日曜日)にかけて開催された。八王子まつりは今年から内容が刷新され、ミス・コンテストなどの幾つかのイベントは行われなくなり、二日目の夜に行われていた花火大会も秋の開催に変更になった。夏の祭りは山車と御輿を中心とした「関東屈指の山車祭り」を目指すのだという。その「新生」八王子まつりの二日目と三日目に出かけてみた。
第42回八王子まつり
八王子まつり二日目の午後、露店の並ぶ甲州街道を歩いた。さまざまな店が並んで、祭りを楽しむ人たちが行き交って賑わう様子は例年と変わらない。金魚すくいを楽しむ家族連れや、浴衣姿の若い女の子たちがかき氷などを買い求める姿も、いつもの祭りの風景だ。

出番を待って控える山車の様子を見てゆくのも楽しい。八王子の山車は本来はその上部に人形が飾られることも特色だが、戦禍や火災などで失われたものも多いという。昨年は上八日町の「素戔嗚尊」が復活して話題となったが、今年はさらに本町の「浦島」の人形が復活、祭りに華を添えた。
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八王子まつり二日目の夜は昨年までは富士森公園を会場にして花火大会が行われていたのだが、今年の花火大会は秋の開催となってしまった。二日目の夜はどのようになってしまうのだろうかと思っていたのだが、どうやら西放射線通りを舞台に山車の曳き回しが行われるらしく、その開始時刻の夜七時近くになって再び街へと出かけてみた。

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すでに日も落ちて暗くなった中、八王子駅北口辺りから西放射線通りにかけては祭り見物の人々でごった返している。その中を山車が曳かれてゆく。ただでさえ暑い夏の夜が、人々の熱気でさらに蒸し暑い。夜の街の中、灯りに浮かび上がる山車の姿はそれだけでも美しく、どこか幻想的な雰囲気さえ漂わせている。

やはり山車と山車とが出会う場面は見応えがある。「ぶっつけ」というのか、対向する山車同士が出会い、そこで互いのお囃子が競われる。聞いた話に依れば、各町内のお囃子はそれぞれに独自の拍子というのか、独自の演奏パターンがあるらしく、それを相手の拍子に釣り込まれることなく如何に保ち続けるかを競うのであるらしい。素人のこちらにはその違いさえわからず、いつどちらがどちらにつられてしまったのかさえわからないのだが、何とも言えない緊張感が伝わってきて見入ってしまう。

西放射線通りは、山車の曳き回しにはやはり少し狭い。見物の人々が山車を取り囲むと横を通り抜けるのもままならない。夜になると露店の並ぶ甲州街道の歩道もますます人出が多くなり、こちらも真っ直ぐに歩けないほどだ。しかしそうした混雑もまた祭りの賑わいのひとつと考えるべきかもしれない。暑さと人混みに少々疲れを感じながら、祭り二日目の夜は帰路を辿ったのだった。
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三日目の午後、今年は八幡八雲神社の宮御輿の渡御が行われるというので、これを見たいと思って甲州街道へと出かけた。御輿の渡御にはまだ少し時間に余裕があり、車両通行止めの措置がとられた甲州街道の何カ所かで獅子舞が行われている。それぞれの獅子舞の会場では幾重にも人垣が取り囲み、その隙間から覗くように見た。ひとつひとつをじっくりと見てみたいとも思うのだが、あちらもこちらも見てみたいという気がして、それぞれを駆け足で見てゆくという状態だった。

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獅子舞はそれぞれに由緒のあるものだが、詳しいことはよく知らずにいる。しかし、それぞれに異なる獅子舞を見てゆくとその所作のひとつひとつに受け継がれてきた「歴史」のようなものを感じさせて、その存在感に圧倒される思いがする。普段はあまり見ることもなく、こうしたものが伝わっていることさえ気付かずにいるが、実はしっかりと綿々と受け継がれ、守られているという事実に、感動のようなものを覚える。
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獅子舞が終わると、やがて甲州街道に設置されたスピーカーから八幡八雲神社の御輿が神社を出発したとのアナウンスが聞こえてきた。この時、甲州街道の西ではすでに多賀神社の千貫御輿の渡御が始まっており、東からの八幡八雲神社の宮御輿と最終的に出会うように終わる形になっている。昨年までは千貫御輿の渡御だけが行われていたのだが、東西の宮御輿が揃う今年はまさに八王子まつりの象徴のひとつとして相応しいものであるかもしれない。
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子どもたちの曳く大太鼓が行き、それに続いて神職の人たちに導かれて八幡八雲神社の宮御輿がやってくる。先導を務める巫女の、凛々しい姿がいい。巫女を務める若い女性たちは少し緊張気味だが、それもまたかえって表情の美しさにつながっているようにも思える。世話役の人だろうか、巫女の女性たちに「カメラを向けられたら笑ってあげて」などとおどけて言っていたが、そこでようやく見せた巫女たちの笑みの晴れやかさも素敵だ。
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八幡八雲神社の宮御輿は金色に輝いてとても美しい。荘厳な中にも優美さを感じさせ、毅然とした気品のようなものを漂わせている。そのせいなのか、担ぎ手の熱気と勇壮さにも関わらず、御輿はどこか静かに厳かに担ぎ手の氏子衆の上に凛として鎮まっているような印象がある。祭りのひととき、氏子衆によって担ぎ出された神域の空気が、まさに感じられる。「祭り」は「祀り」であるから、そのためにこれほどの氏子衆の熱気を必要とするのだと思える。
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昨年は多賀神社の千貫御輿を見たが、八幡八雲神社の宮御輿はまた違った印象を与えてくれる。どちらもそれぞれに素晴らしいが、勇壮で剛健な印象の千貫御輿に対して、勇壮な中にも優美さを感じさせる八幡八雲神社の宮御輿といったところだろうか。清々しく晴れやかな気分にさせてくれた八幡八雲神社宮御輿の渡御だった。
今年の八王子まつりは内容の見直しがはかられ、花火大会も秋の開催となって、少しばかり淋しくなるかという懸念もあったのだが、山車や御輿、獅子舞といったものが中心となってかえって焦点が定まった観もあって素晴らしい祭りになったようにも思える。来年からはさらに多くの人形山車の復活を望みたいところでもある。
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