旧芝離宮恩賜庭園の中央部に横たわる大泉水の南東側の岸辺、数本の百日紅が並んでいる。ほとんどは紅色の花を咲かせる百日紅だが、白い花を咲かせるものもある。青く澄んだ夏空の下、日差しを浴びて咲く百日紅の色彩が緑濃い景観の中にひときわ存在感を放って美しい。少し離れて木々の緑を背景に見る百日紅も美しいが、近くに寄って青空を背景に見上げる姿の美しさも劣らない。場所を変えて眺めてみれば、百日紅の花と木々の緑、大泉水、そして青い空とが織り成す景観の表情もさまざまに変わって飽きない。そもそも美しい庭園の中だから“百日紅の咲く風景”としても充分に美しいが、百日紅の花房を間近からじっくりと観賞するのもいい。花房の背景に大泉水が見える景観もなかなか興趣のあるものだ。