桜咲く秋留台公園（東京都あきる野市）

都立秋留台公園はほぼ正方形をした敷地の北東側の四分の一ほどを占めて競技場が設けられている。長円形をしたごく普通の競技場だが、この競技場の外縁部には競技場を縁取るように桜の木が植えられている。初夏から秋にかけては緑濃く葉が茂り、無機質になりがちな競技場の風景に潤いを与えてくれているが、春には競技場を包み込むように桜が咲き誇って春爛漫の風景を見せてくれる。

この季節、花見に訪れた人たちのためだろうか、競技場は開放されているようで、競技場南西側の入口から中に入ることができた。競技場のフィールドの外側は観覧席を兼ねた（と思われる）草はらのスロープが取り囲んでいるが、このスロープが絶好のお花見の場所になっている。頭上には大きく枝を広げて桜が咲き、その桜が草はらのスロープに木陰を落としてくれる。その木陰の思い思いの場所にシートを広げてお花見を楽しむ人たちの姿がある。桜は競技場を取り囲むように咲いているから、草はらのスロープは頭上を桜の天蓋が覆い、横にも正面にも桜の咲く風景が見えているから、まさに“桜に囲まれた”景観を楽しむことができる。競技場輪郭の円弧に沿った部分では桜の並木も弧を描き、それが景観に表情を与えてくれるのもいい。

競技場の中だけでなく、もちろん競技場外側の園路でも見事な桜の景観を見ることができる。駐車場脇の桜も美しいものだし、メインエントランスから真っ直ぐに延びる舗道脇の桜も見事だ。競技場の外側を囲む舗道を歩けば、競技場を取り囲む桜並木を見上げながらの散策が楽しめる。競技場西側、「展望広場」脇の舗道も桜並木になっており、これもなかなか美しい景観だ。「展望広場」の頂上部分に上れば競技場を取り囲む桜並木を眼下に見下ろすことができ、爽快な印象の桜が楽しめる。「展望広場」の丘を西側から見れば、舗道の桜と雪柳が咲く向こうに「展望広場」頂上の特徴的な意匠の四阿を見る。この景観もフォトジェニックだ。「展望広場」の南側には遊具が設置された広場があるが、ここでも西側から見ればブランコで遊ぶ子どもたちの背景に桜と雪柳が咲き誇る。この景観もたいへんに素晴らしい。「芝生広場」の脇にぽつりと一本だけ咲いている桜も印象的な姿を見せる。

秋留台公園は秋留台地に設けられた公園で、園内にも特筆するほどの起伏がなく、開放感に富んでいる。訪れた日は幸いにも雲ひとつ無い晴天に恵まれたのだが、秋留台公園の桜にはこのような晴天の日がよく似合う。抜けるような青空の下、開放感溢れる公園で味わう満開の桜景色は何とも素晴らしく、晴れやかな気分にしてくれる。このような日を選んで、お弁当を持ってのんびりとお花見に訪れるのがお勧めだ。ゆっくりと園内を巡ってさまざまな桜の景観を楽しんだ後は、どこかに場所を求めて春景色を満喫しながらのアウトドアランチを楽しもう。

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秋留台公園の計画面積は15ヘクタールほどだそうだが、現在はそのうちの12ヘクタールほどが完成している状態という。

電車で来訪する場合はJR五日市線秋川駅で降り、駅北側の五日市街道をまっすぐに東へ辿って1kmほど、徒歩で15分ほどだ。秋川駅の東隣の東秋留駅から西へ歩いてもやはり徒歩で15分ほどだ。

公園には約250台分の無料駐車場があり、車で来訪する場合はこれを利用するといい。駐車場入口は五日市街道に設けられている。

園内には売店やレストランなどは無く、ドリンク類の自動販売機が設置されている程度だ。公園周辺にもお店は無く、お昼時を公園で過ごそうというときはお弁当持参がお勧めだ。秋川駅周辺にはさまざまな店舗があるから、公園に向かう前に立ち寄っておくのもいい。

園内の「芝生広場」ではバーベキューも可能らしい。用具や食材は持参、使用する際にサービスセンターに申し出ればよいようだ。

公園の周辺は秋留台地の田園地帯で、畑地の広がる風景だ。周辺を散策してそうした風景を堪能するのも悪くない。

公園西側の「南北道路」を数百メートル北へ辿れば平井川で、河畔に市立の草花公園がある。大きな公園ではないが、河畔の立地が良い風情だ。平井川に沿っての散策も楽しい。

草花公園から1kmほど東へ辿れば、平高橋から多西橋までの約1km、平井川河岸には見事な桜並木が続く。桜の季節なら足を延ばしてみるのがお勧めだ。