東京都羽村市の東部に羽村市動物公園が設けられている。アットホームな雰囲気が魅力の小さな動物園だ。お天気に恵まれた十二月上旬、羽村市動物公園を訪ねた。
羽村市動物公園
東京都羽村市の羽村市動物公園は1978年(昭和53年)5月に全国初の町営動物公園(当時は羽村町、1991年に市制が施行されている)として開園したものという。以来、身近な動物園として近隣の人たちに愛されてきた。2018年(平成30年)には40周年を迎え、それに合わせてエントランスや管理事務所のリニューアルが行われた。

羽村市動物公園は4.2haほどの面積を有し、その中に100種ほどの動物が展示されている。身近な動物たちがほとんどで、特に珍しい動物がいるわけではない。ゾウやカバ、サイなどの大型の哺乳類はいない(キリンとシマウマはいる)し、ライオンやトラといった大型の肉食獣もいない。アットホームな雰囲気が魅力で、家族や友人同士で気軽にのんびりと楽しむことのできる動物園だ。
羽村市動物公園
公園の南西側の角にエントランスが設けられている。エントランスは40周年を機会にリニューアルされたものだ。特徴的な形状の屋根は“羽ばたき”をイメージしたものという。
羽村市動物公園
エントランスから園内に入って東へ進めば「エントランスエリア」だ。プレイリードッグやサーバル、シベリアオオヤマネコ、ミーアキャット、シロテナガザル、ワオキツネザル、シマハイエナといった動物たちが展示されている。サーバルやシベリアオオヤマネコの精悍な顔つきが印象的で、シロテナガザルやワオキツネザル、コモンリスザルなどの猿たちの姿が見られるのも楽しい。
羽村市動物公園
「エントランスエリア」を通り抜けると「サバンナ園」だ。区画を区切ってアミメキリンやグラントシマウマに加え、ホオジロカンムリヅルやモモイロペリカンなども展示されている。キリンの姿が少し遠いのが残念だが、大きな身体に関わらず可愛らしい姿に心が和む。
羽村市動物公園
「サバンナ園」とは園路を挟んだ向かい側(北側)に「なかよし動物園」が設けられている。その名から推測できるが、ふれあうことのできる動物たちを展示したエリアで、ヤギやヒツジ、ロバ、カピバラ、インコの仲間などを見ることができる。動物たちとのふれあいのイベントも開催されるようだ。のんびりとしたヤギやロバたちの姿も楽しく、カピバラの愉快な動きも見てきて飽きない。
羽村市動物公園
「サバンナ園」と「なかよし動物園」の間を抜けていくと公園の東端部、「ペンギンエリア」だ。フンボルトペンギンとアメリカビーバー、ケヅメリクガメが展示されている。ペンギンもビーバーも可愛らしい。ビーバーを見ていると、何か自分なりのルーティンがあるのか、同じところを泳ぎ回ったり、2頭が寄り添って休んでいたり、その姿はたいへんに可愛らしく、見ていて飽きない。
羽村市動物公園
「ペンギンエリア」の北側には「サル山」が設けられている。当然のことながらニホンザルが飼育されているわけだが、「サル山」の中にはニホンイノシシも一緒に飼われており、イノシシの背にニホンザルが乗っている姿も見ることができる。サルに背中に乗られてイノシシは嫌ではないのか、と、要らない心配もしてしまうが、イノシシの方はまるでお構いなしのようにも見える。そもそもなぜサルはイノシシの背に乗るのか。ユーモラスな光景だ。
羽村市動物公園
「サル山」の北側は「バードエリア」、その名の通り、さまざまな鳥類が展示されている。アオバズクやメンフクロウ、ワシミミズクなどのフクロウの仲間はその表情が印象的だ。フクロウは「森の賢者」と形容されることもあるが、その達観したような眼差しで見つめられるとこちらの心を見透かされているような気分になるから不思議だ。他にもアンデスコンドルやモモアカノスリといった鳥も展示されているし、鶏の仲間が各種展示されているのも楽しい。
羽村市動物公園
「バードエリア」の西、公園の北側部分を占めるのは「芝生広場エリア」だ。「芝生広場エリア」の東側部分は木立のある一角で、その中にヤクシカやイノシシが飼育されている。ヤクシカの優しい眼差しが印象的だ。
羽村市動物公園
「芝生広場エリア」の西側部分はちょっとした遊園地のように整備されている。遊具が設けられていたり、蒸気機関車が展示されていたり、恐竜やゾウを象ったオブジェ(遊具?)が置かれていたりと盛りだくさんだ。軽食を販売する売店なども設けられているから、子どものいる家族連れには楽しい場所だろう。園内を巡って動物たちを見学した後は、「芝生広場」でのんびりと過ごすのもお勧めだ。
羽村市動物公園
「芝生広場エリア」の南側、エントランスから入ってすぐ北側にはスタディホールという建物が設けられており、その中にナマズやサンショウウオなどが飼育されている。モルモットやレッサーパンダも飼育されていて、モルモットに餌をやりながらふれあうことのできるイベントなども開催されるようだ。さすがにレッサーパンダとのふれあいはできないが、その姿は来園者の人気を集めている。
羽村市動物公園
展示されている動物の数も種類も決して多いとは言えない羽村市動物公園だが、その分、かえって親しみやすく、気構えることなく楽しめるのが魅力だと言っていい。身近な動物たちから、普段の生活の中では見ることのない動物たちまで、その姿を間近に見て回るのは楽しいひとときだ。また園内には通常の動物展示の他に有名な童話をテーマにした展示エリアが設けられている。それらを探しながら巡ってみるのも楽しい。近隣に暮らす人たちには身近な行楽地としてお勧めだ。
羽村市動物公園
羽村市動物公園
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羽村市動物公園
羽村市動物公園
参考情報
羽村市動物公園は入園料が必要だ。入園料や開園日、開園時間等、詳細は羽村市動物公園の公式サイト(頁末「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

羽村市動物公園ではネーミングライツの導入により2022年(令和4年)4月1日から2026年(令和8年)3月31日まで「ヒノトントンZOO」の愛称が使用されている。

交通
羽村市動物公園の最寄り駅はJR青梅線羽村駅だ。羽村駅東口から羽村駅前中央通りを北東の方角へ真っ直ぐに進んで約1.4km、20分ほど歩けば着く。JR八高線箱根ヶ崎駅からも約2km、歩けば30分ほどだ。

羽村市動物公園には来園者用の駐車場が用意されており、車での来園も可能だ。300台ほどが駐車可能だが、行楽シーズンの休日には混み合うようだ。駐車場は土日祝日は有料、平日は無料だ。駐車場の場所や駐車料金等、詳細は羽村市動物公園の公式サイト(頁末「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

遠方から車で訪れる場合は、圏央道青梅ICや日の出ICが近い。青梅ICからは約4km、日の出ICからは約7kmだ。

飲食
羽村市動物公園はお弁当の持ち込みが可能だ。家族で楽しむならお弁当とレジャーシートを持参するのがお勧めだ。園内の売店で軽食も販売しているので、利用するのも一案だろう。

周辺
JR青梅線羽村駅の東口近くに、「五ノ神まいまいず井戸」と呼ばれる古い井戸が残されている。中世の頃に築かれた井戸だという。

JR青梅線羽村駅西口から西へ1kmほどで羽村堰だ。羽村堰は桜の名所だ。桜の季節には上流側の「桜づつみ公園」と併せて訪ねてみたい。

桜づつみ公園の北、多摩川の河畔には根搦前水田と呼ばれる水田地帯がある。羽村市で唯一の水田地帯だそうだ。長閑な田園風景の楽しめるところだが、春には田植え前の水田を利用してチューリップが植えられる。見事な景観だ。

羽村市動物公園から北東の方角へ辿れば瑞穂町だ。狭山池公園や「さやま花多来里の郷」などを訪ねてみるのも楽しい。
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