東京都調布市の神代植物公園はさまざまな花々の楽しめる公園だ。冬は木々の葉も落ちて寂しい風景だが、春が近くなれば早咲きの梅や蝋梅などが咲き始める。蝋梅が見頃の一月下旬、神代植物公園を訪ねた。
晩冬の神代植物公園
東京都調布市の神代植物公園にはさまざまな草木が植えられ、四季折々に花々を楽しむことができる。冬は葉の落ちた木々も多く、少しばかり殺風景な風景だが、一月下旬にもなれば春を持ちわびるように早咲きの梅や蝋梅といった晩冬を飾る花々が咲き始める。数はわずかながら林地の一角ではスノウドロップも見ることができる。
晩冬の神代植物公園
一月下旬、晩冬の神代植物公園を訪れたなら、まずは「うめ園」に向かいたい。「うめ園」には200本を超える梅が植えられており、“梅の名所”として知られている。見頃は2月の下旬から3月上旬にかけてだが、1月下旬になればそろそろ早咲きの梅が咲き始める。ほころびかけた蕾の中に混じって咲く梅の花が季節の風情を漂わせている。青く澄んだ冬空を背景に見上げる梅の花がとても美しい。
晩冬の神代植物公園
「うめ園」の一角、南側に蝋梅が植えられたエリアがある。蝋梅は名に「梅」の文字があるものの梅の仲間ではないが、ほぼ同じ時期に見頃を迎えるから梅に隣接して区画が設けてあるのだろう。

神代植物公園には一般的な素心蝋梅(ソシンロウバイ)だけでなく、花の中心が茶褐色の和蝋梅(ワロウバイ)も植えられている。蝋梅は晩冬の花として代表的なもののひとつだ。甘い香りの漂う蝋梅の林の中をゆっくりと巡るのは楽しいひとときだ。
晩冬の神代植物公園
「かえで園」に近い林地の一角で、スノウドロップの花を見ることができる。数は少なく、一カ所だけ、ひっそりと咲いている。小さな花で、しかも一カ所にしか咲いていないから見つけるのも難しく、咲いている場所を指し示す案内標識が設置されていた。

スノウドロップはまさに“春の訪れを告げる妖精”のような花と言っていい。地面近くにひっそりと下向きに咲く姿はたいへんに可愛らしく、フォトジェニックだ。
晩冬の神代植物公園
深大寺の南東側に分園として設けられた水生植物園はまさに冬枯れの風景だ。いかにも寒々しい冬の風景だが、こうした閑寂な景観もなかなか興趣のあるものだ。
晩冬の神代植物公園
湿地に設けられた木道を辿っていると、湿地の中で獲物を探すアオサギに出会った。すぐ横を通っても逃げることなく、というより、まるでこちらを気にしていないようにも見える。それほど珍しい鳥ではないが、こうして間近から見ることができるのは楽しい。少し写真を撮らせてもらってから場を離れたが、うまく獲物は見つかっただろうか。
晩冬の神代植物公園
一月下旬はまだ寒さの厳しい時期で、なかなか出かけたい気分にもならないものだが、この季節ならではの風景を探しての散策は楽しい。神代植物公園はそんな冬の散策にも好適なところだ。蝋梅や早咲きの梅などを愛でながら、のんびりと園内を巡るのがお勧めだ。
晩冬の神代植物公園
晩冬の神代植物公園
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晩冬の神代植物公園
晩冬の神代植物公園
参考情報
本欄の内容は神代植物公園関連ページ共通です
神代植物公園は入園料が必要だ。また無料区域の「自由広場」と「ドッグラン」以外の区域への「動物を連れての入園はご遠慮ください」とのことだ。入園料や開園時間、休園日など、詳細については東京都公園協会サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

交通
神代植物公園は電車の駅からは離れており、駅からバスを利用しなくてはならない。京王線調布駅、京王線つつじヶ丘駅、JR中央線三鷹駅、JR中央線吉祥寺駅などから神代植物公園行き、あるいは神代植物公園を経由するバス路線がある。詳細は東京都公園協会サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。

車で来訪する場合は、国道20号の「下石原交番前」交差点から「武蔵境通り」へ折れて北上、あるいは東八道路(都道14号)の「野崎八幡前」交差点で「武蔵境通り」へ折れて南下するのがわかりやすいだろう。中央自動車道を利用するときには調布ICで国道20号の上り方向へと降りれば300mほどで「下石原交番前」交差点だ。

「武蔵境通り」の「神代植物公園北」交差点から東へ折れれば公園駐車場がある。駐車場は有料で、西側に第一駐車場(約220台分)が、東側に第二駐車場(約100台分)が設けられている。バラの季節など、来園者の多い行楽シーズンには臨時駐車場が開放され、全部で1000台分近い駐車スペースがあるが、それでもたいへんに混み合う。公園側でも公共の交通機関の利用を呼びかけている。

飲食
公園には正門脇にレストランがある。レストランのメニューはカレーライスやチャーハン、焼きそば、うどんといった軽食が中心だが、ケーキやあんみつなどの甘味も扱っている。手軽に食事を済ませたいときには便利だろう。また「芝生広場」脇の売店でもカレーライスや焼きそば、おにぎりなどの軽食を販売している。もちろんお弁当持参で「芝生広場」にレジャーシートを広げてのアウトドアランチを楽しむのもお勧めだ。

公園南側の「深大寺門」から出れば、深大寺周辺に有名な「深大寺そば」を商う店が多数ある。行楽シーズンにはたいへんに混み合うが、「深大寺そば」を味わってみるのもいい。

周辺
公園の南側には深大寺がある。ぜひ参拝しておきたい。周辺には蕎麦店などが建ち並び、なかなか興趣に富んだ風景が広がる。のんびりと散策を楽しむのがお勧めだ。

さらに南へ下れば野川が流れている。野川の河岸に沿っての散策もお勧めだ。公園の西へ向かえば国立天文台がある。少し距離があるが、散策の足を延ばしてみるのも楽しい。
冬散歩
東京多摩散歩