空気の中に夏の気配が濃厚になった六月の終わり、紫陽花を探して四季の森公園を訪れてみた。曇りがちの日だったが、紫陽花にはこうした空模様が似合うだろう。

花菖蒲はすでに盛りを過ぎている。その菖蒲園の隅、水車小屋の傍らに紫陽花が咲いている。水車小屋の裏手にも少しばかり紫陽花が咲いているが、この近くにはあまり紫陽花を見ない。雑木林の中のヤマユリの姿が印象的だ。散策路に沿って「あしはら湿原」の横を抜けて「ピクニック広場」を目指して谷戸の奥へ辿る。散策路沿いにところどころ紫陽花があって目を楽しませてくれる。「ピクニック広場」は雑木林の丘に囲まれた谷戸の奥まったところの広場で、その周囲に紫陽花が咲いている。残念ながらそれほど数は多くはなく、ところどころに淡い色彩を添えている印象だ。そのまま「西口広場」へと上ると、「西口広場」の傍らにも紫陽花の咲く場所があった。足を延ばして「清水の谷」にも行ってみる。水田を見下ろす休憩所の脇に少しばかり紫陽花の姿があった。

意図的に植え込まれて整備された「紫陽花園」のような数多くの紫陽花に囲まれるような場所は四季の森公園にはないが、緑濃い雑木林の風景に色彩を与える紫陽花の姿もそれなりに味わいのあるものだ。紫陽花を目当てに訪れると少々期待外れかもしれないが、園内には他にも夏の花々が多く咲いていて散策は楽しい。梅雨空の下、湿気を含んで濃密な空気に包まれた公園の風景の中に、花々の色彩が映える。そうした夏を待つ季節の風情が魅力だ。