東京都北区の飛鳥山公園は、八代将軍徳川吉宗が飛鳥山に桜や楓を植栽し、行楽地として整備したのが始まりという。飛鳥山が紅葉に染まった十二月初旬、飛鳥山公園を訪ねた。
東京都北区の飛鳥山公園は都内でも屈指の桜の名所として知られる。そもそも江戸時代の中期に第八代将軍徳川吉宗が飛鳥山に桜や楓を植栽、行楽地として整備して庶民に開放したことから飛鳥山公園の歴史が始まるわけで、その意味では“由緒正しい”花見の名所というわけだ。そうした公園の歴史の始まりの逸話を考えれば、桜の名所であるのと同じくらいに紅葉の名所であってもよさそうなのだが、現在の飛鳥山公園が“紅葉の名所”として語られることはあまりない。年月を経るうちに飛鳥山の植栽の様相も変わってしまったのかもしれない。
“紅葉の名所”として語られることが少なくても、晩秋の飛鳥山公園で美しい紅葉の景色を楽しむことはできる。園内随所に楓の木があり、見事な紅葉に染まって公園を彩ってくれるのだ。残念ながら数は多くはなく、飛鳥山全体が紅葉に染まるような景観を期待することはできないが、園内のところどころで真っ赤に染まったモミジの姿を見つけるのも楽しいものだ。
例えば公園南側、本郷通りに面した駐車場横の入口横の楓や「旧渋沢庭園」内の楓、あるいは「多目的広場」中央部の石段横の楓、葉の落ちた桜の林の中で出会う楓など、それぞれがなかなか見事な景観を見せてくれる。山肌一面を染め上げるような紅葉の景観はもちろん素晴らしいものだが、このような一本一本の楓が存在感を放って見せてくれる紅葉の景観というのも興趣のあるものだ。
飛鳥山公園内にはもちろんさまざまな樹木があるからそれぞれの樹木の見せる紅葉の景観も無視できない。ケヤキの紅葉も日差しの向きによってはたいへんに美しい姿を見せてくれる。園内にはイチョウの木もあるが、残念ながら今回訪れたときにはほとんど落葉してしまっていた。
晩秋の飛鳥山公園は誰にでもお勧めできる“紅葉の名所”というわけではないが、美しい紅葉の景色を楽しむことはできる。近くに暮らす人にとっては魅力的な晩秋の散策路であることだろう。真っ赤に染まって日差しを浴びるモミジを探しながら、のんびりと園内を巡って晩秋の風情を楽しむのがお薦めだ。
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「渋沢史料館」と「北区飛鳥山博物館」、「紙の博物館」はそれぞれに入館料が必要だが、三館共通券も販売されており、共通券を購入すれば別々に購入するより割安になる。詳細は「飛鳥山3つの博物館」サイト(「関連する関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。
「旧渋沢庭園」は入場料は必要ないが、開園時間が決まっており、夜間は閉鎖される。また庭園内に建つ「晩香廬」と「青淵文庫」は、普段は外観を見学できるだけだが、毎週土曜日の午後には一般公開されるようだ。詳細は「財団法人渋沢栄一記念財団」サイト(「関連する関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)内の「渋沢資料館」を参照されたい。
飛鳥山公園はJR京浜東北線王子駅から至近だ。JR王子駅の西に隣接していると言っていい。JR王子駅のすぐ北側には東京メトロ南北線の王子駅があり、もちろんこちらからも近い。また都電荒川線が飛鳥山公園の北側を回り込むように走っており、JR王子駅横の王子駅前停留場や飛鳥山公園西側の飛鳥山停留場などが近い。
公園の西側を通る本郷通り沿いに有料の公園駐車場が設けられているが、大型車両用スペースが4台分、普通車用スペースが20台分ほどであまり余裕がない。王子駅周辺や明治通り沿い、本郷通り沿いに民間駐車場が点在しているが、こちらもそれほど多いわけではない。桜のシーズンなどには車での来訪は敬遠した方が賢明だろう。
公園中央部の「児童エリア」の線路側に「さくら亭」という名の軽食と甘味の店がある。北区飛鳥山博物館内にも軽食喫茶の店がある。あくまで“軽食も可能”という程度だ。
シートを持参していれば公園内に場所を見つけてアウトドアランチを楽しむことは可能だが、飛鳥山公園には芝生広場のようなスペースは無く、ピクニック気分でお弁当を広げるには少しばかり不向きかもしれない。なお「旧渋沢庭園」エリア内は飲食禁止となっている。
王子駅周辺へ行けば飲食店は多く、食事の場所には困らない。ただし桜の季節の休日には公園と周辺はたいへんな人出で賑わい、食事の場所にも困ってしまいかねない。余裕を持って出かけた方がいい。
飛鳥山公園のすぐ北側には明治通りを挟んで
音無親水公園
がある。
春は桜
、夏は水遊びで賑わう公園だ。その北に隣接する王子神社へも足を延ばしておきたい。さらにそこから北へ数百メートル進むと名主の滝公園という公園がある。かつて王子村の名主だった畑野家の屋敷があったところという。
飛鳥山公園の西側、滝野川二丁目には「
赤レンガ酒造工場
」がある。建築に興味のある人は訪ねてみるといい。
本郷通りを南へ下ると数百メートルほどで滝野川公園、さらに進めば
旧古河庭園
だ。少し距離があるが、併せて訪ねてみるのもいい。町歩きの好きな人なら旧古河庭園南側の
霜降銀座商店街
もお勧めだ。
桜の季節であれば石神井川
を上流側へと辿ってみるのもお勧めだ。石神井川河畔に桜が植栽され、美しい景観を見せてくれる。特に板橋区に入ると見事な桜並木が続く。少し距離があるが、花見散歩のコースとしてお勧めだ。
飛鳥山公園(北区)
飛鳥山3つの博物館
財団法人渋沢栄一記念財団
飛鳥山公園
桜咲く飛鳥山公園
音無親水公園
桜咲く音無親水公園
赤レンガ酒造工場
石神井川桜並木
旧古河庭園
早春の旧古河庭園
桜咲く旧古河庭園
紅葉の旧古河庭園
霜降銀座と染井銀座