金沢橋を過ぎて南向きに流れる石神井川をさらに下流側へ辿ると200mほどで「東(あずま)橋」という人道橋がある。東橋の袂、左岸側には小公園があり、ここも花見の人で賑わっている。東橋を過ぎると流れは東向きに曲がり、すぐに埼京線の線路をくぐる。埼京線の線路をくぐるとすぐに板橋区と北区の区境だ。区境を越えて北区に入ると石神井川の両岸に小公園がある。右岸側は「音無くぬぎ緑地」、左岸側は「音無こぶし緑地」という名だ。石神井川は北区の王子の辺りでは「音無川」と呼ばれていたことから、河岸の緑地の名に「音無」が冠されているのだろう。どちらの緑地でも花見の人たちで賑わっている。
北区に入っても河岸には桜並木が続いている。桜に縁取られた音無川を東へ歩こう。「観音橋」を過ぎると河岸の桜並木が途切れがちになった。優美な曲線を描いて流れる音無川の河岸をさらに辿るとやがて「滝野川橋」だ。
滝野川橋を過ぎると右岸側に「音無もみじ緑地」がある。旧河道の蛇行跡を整備して設けられたらしい形状で、周辺部には広場が設けられているが中央部にはすり鉢状の斜面があり、“すり鉢”の底部にはワンドが設けられ、川面近くまで降りてゆくこともできる。音無もみじ緑地も桜が美しく、“すり鉢”の下方から上部を見上げると春の青空を背景に咲き誇る桜が見事な景観を見せる。
音無もみじ緑地を跡にして「もみじ橋」を過ぎると、右岸側に今度は「音無さくら緑地」という小公園がある。これも旧河道を利用した造りで、U字形状で南側の住宅街の中を辿っている。この音無さくら緑地には「緑の吊り橋」と名付けられた吊り橋が設けられている。吊り橋の下は遊歩道と小川が設けられており、“橋”としての本来の目的より、修景用のものなのだろう。吊り橋は小さなもので、高さもあまりないが、なかなか本格的な造りの吊り橋で、渡るとふわふわとした揺れを感じるのが楽しい。
音無さくら緑地から東は河岸の桜並木は途切れがちだが、ところどころに見事な桜もあって飽きない。河岸の舗道脇に設置された小鳥のオブジェも可愛らしい。数百メートル進むと「音無橋」、ここから音無川は暗渠となって
飛鳥山公園の下を流れてゆく。音無橋の下には旧流路を整備して造られた音無親水公園がある。飛鳥山公園も音無親水公園も桜の名所だ。その双方に立ち寄って、石神井川桜並木の花見散歩の締め括りにすることにしよう。