幻想音楽夜話
Picks Log
ちょっと気になっている音楽やアーティストについて、あるいは気になった音楽シーンの話題について、「幻想音楽夜話」のトップページの「Picks」欄に短いコメントで気ままに記しています。このページはその「Picks」欄の過去ログです。「Picks」欄の過去ログは年毎にまとめてあります。メニューから表示ページを選択して下さい。最新のものは「幻想音楽夜話」トップページでどうぞ。
2018年個人的年間アルバムベスト3
個人的な今年の総括、「個人的年間アルバムベスト3」。今年もやるよ。購入したCDの中から、2018年に発売された「新作アルバム」と「復刻アルバム」、それぞれ3枚、選んでみた。順番は発売日順、上のものから1位、2位、3位ではない。「復刻アルバム」は必ずしも今年が初めての復刻というわけではない。

【新作】
「My Name is SOLEIL / SOLEIL」
「Honey Don't Leave LA / Danny Kortchmar with Immediate Family」
「Out Of The Blues / Boz Scaggs」

今年の新作アルバムの最大の収穫は「My Name is SOLEIL / SOLEIL」に尽きる。サイコーだった。近年、これほど繰り返し繰り返し聴いたアルバムは他に無い。「Out Of The Blues / Boz Scaggs」も素晴らしかった。円熟の極み。これも繰り返し聴いたな。そしてDanny Kortchmarだ。「Honey Don't Leave LA / Danny Kortchmar with Immediate Family」が期待以上に良かった。まさに燻し銀の魅力。派手さはないが、良質の音楽を聴かせてもらった。「Prodigal Son / Ry Cooder」や「The Music In My Head / Michael Franks」、そしてもちろん「Egypt Station / Paul McCartney」も良かったが、次点ということにさせていただく。

【復刻】
「夢で逢えたらVOX / シリア・ポール」
「The Beatles (White Album) 50周年記念盤 / The Beatles」
「BEGINNING / 竹内まりや」

今年のリイシュー作品では何と言っても「夢で逢えたらVOX / シリア・ポール」が嬉しかった。シリア・ポールの歌声で「夢で逢えたら」を聴いたのは何年ぶりだろう。やっぱりこの曲はシリア・ポールでなくちゃいけない、と、個人的には思っている。ジャパニーズ・ポップスでは竹内まりやの初期作品のリマスターが待ちに待ったリイシューだった。秋から来年にかけてリイシューが続くが、ここでは「BEGINNING」を挙げさせていただこう。もう一つ何を挙げようか迷ったが、やはりここはBeatlesの「White Album 50周年記念盤」を挙げておきたい。購入したものはスーパーデラックスエディションではなくてCD3枚組のデラックスエディションだが、充分に満足だ。今年のリイシューでは「Happy Is / The Sunshine Company」とかThe 5th Dimensionの「Up, Up And Away」や「The Magic Garden」の紙ジャケ盤も嬉しかったし、「Sex, Dope & Cheap Thrills / Big Brother And The Holding Company」も素晴らしい内容だったな。
December 28, 2018
四人囃子 ONE STEP FESTIVAL
四人囃子のONE STEP FESTIVAL音源が素晴らしくいいぞ。ピンク・フロイドの「Cymbaline」のカヴァーもいいが、何と言っても「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」や「一触即発」が素晴らしい。「一触即発」の熱気というか、勢いというか、グルーヴ感が凄い。同好の諸氏よ、入手したか。
December 18, 2018
SOLEIL is Alright / SOLEIL
SOLEILのセカンドアルバムだ。9月に発売されたものだが、今頃になって聴いている。衝撃的という点ではファーストアルバムの方が上だが、完成度はこちらが上か。SOLEILの歌声も板に付いてきた。今回も60年代のロック、ポップ風でキメている。ビートルズ風あり、スペクター風ありで笑っちゃうほど素晴らしい。横山剣作の「Hong Kong Chang」とかサイコー。最後の「やあぁー」がいいぞっ!
November 29, 2018
NHK紅白歌合戦 出場歌手 発表
今年のNHK紅白歌合戦の出場歌手が発表された。まぁ、それほど楽しみにしているわけでもないのだが、年中行事ということで毎年見ている。今年はDAOKOとか、Suchmosとかが初出場で話題だが、個人的には、祝!あいみょん初出場、だな。何を歌うんだ。「今夜このまま」か、「マリーゴールド」か。「マリーゴールド」を歌って欲しいぞ。
November 18, 2018
ポール・マッカートニー来日公演
11月1日、東京ドーム公演に行ってきた。期待して行ったわけだが、期待以上に楽しんできたぞ。何せ東京ドームなので、ステージ上のポールは遠く小さく、“あれがポールだな”という程度にしか見えないが、それでもいいのだ。見えるとか見えないとか、音響がいいとか悪いとか、あの曲はやらなかったとか、そんなことはたいした問題じゃない。ポール・マッカートニーがそこにいる、そして歌っている、それだけでいい。で、その余韻に浸りつつ、家でもポールを聴いている。
November 3, 2018
Out Of The Blues / Boz Scaggs
8月に発売されたボズ・スキャッグスの新作だが、これがすばらしく良いぞ。ブルースだ、ブルース!往年の名曲にオリジナル曲を交えてのブルース回帰アルバムだ。円熟の歌声に熟練の演奏、素晴らしい。聞き惚れる。「Loan Me A Dime」再び、とまでは言わないが、あの頃のブルース・ロックが好きなら必聴のアルバムだぞ。
Ocotober 10, 2018
マーティ・バリンを悼む
ジェファーソン・エアプレインの創設メンバーであるマーティ・バリンが9月27日に亡くなった。ソロになってからの1980年代以降はAOR的な音楽性で人気を得たが、やはり初期ジェファーソン・エアプレインでの彼が記憶に残っている。彼を偲んで、久しぶりに「シュールレアリスティック・ピロー」を聴こう。ご冥福をお祈りします。
Ocotober 2, 2018
Honey Don't Leave LA / Danny Kortchmar and Immediate Family
「Danny Kortchmar and Immediate Family」名義で発表されたDanny Kortchmarの新作アルバムだ。5月に発売されていたものだが、今更ながらによく聴いている。Danny Kortchmarと言えば、ウエストコーストミュージックを愛する者なら知らない人はいない、名ギタリストだ。ラス・カンケルとリーランド・スクラーに加え、ワディ・ワクテル、スティーヴ・ポステル、ジム・コックスが集結。ジェイムス・テイラー、ジャクソン・ブラウン、マイケル・マクドナルド、デヴィッド・クロスビーといった人たちがゲスト参加している。素晴らしいアルバムだ。これぞ渋み溢れる、熟練の味。同好の諸氏よ、聴き逃すな。
September 6, 2018
The Music In My Head / Michael Franks
5月に発売されたマイケル・フランクスのニューアルバムが「The Music In My Head」だ。マイケル・フランクスは70年代にはよく聴いていた。「Art Of Tea」とか「Sleeping Gypsy」とか、何度も何度も繰り返し聴いたものだ。1980年代以降はあまり聴いていなかったのだが、ニューアルバムが発表されたというので、ふと気になって購入した。相変わらずというのか、ぶれないというのか、いや、否定的な意味ではなくて、賛辞を送っているのだ。彼の音楽は当時からまったく変わらない。細かく言えば変わったところはいろいろあるが、全体の佇まいは当時のままだ。安心して聴いていられる。こんな音楽を聴きたくて、マイケル・フランクスを聴くのだ。
July 27, 2018
マリーゴールド / あいみょん
あいみょんの「マリーゴールド」に心惹かれている。「マリーゴールド」は8月8日発売予定のあいみょんの5thシングルだが、もうFMでよくオンエアされている。これがすごくいい。歌詞もメロディーもいいし、あいみょんの歌唱も素晴らしい。夏、という季節の情感に重ねて歌われる心情が心を打つ。あいみょんにはこういう路線で行って欲しい。
July 21, 2018
My Name is SOLEIL / SOLEIL
3月に発売されたものらしいのだが、今頃になって“発見”して、気に入って買い求めて、よく聴いている。SOLEILとは「たんきゅんデモクラシー」の「それいゆ」がヴォーカルを務めるバンドだそうだ。「たんきゅんデモクラシー」も「それいゆ」も知らなかったが、このアルバムが実にいいぞ。ヴォーカルの「それいゆ」は2003年生まれの14歳(7月に15歳になる)の女の子だ(ギターが中森泰弘、ベースがサリー久保田)。やっている音楽は1960年代風のポップ/ロック。ブリッティッシュ・ビート風だったり、60sガール・ポップ風だったり、フィル・スペクター風だったりとさまざまだが、キーワードは60's。全曲モノラルというこだわりようだ。巧みな演奏も素晴らしいが、何といっても「それいゆ」の歌声がステキだ。言っておくが、“14歳とは思えない本格派の歌唱力”とかいうのではないぞ。あくまで14歳の女の子の等身大の歌声だ。歌唱としては拙いが、それでも、いや、だからこその、この魅力だ。笑っちゃうくらい素晴らしいぞ。
June 5, 2018
井上堯之を悼む
井上堯之が5月2日、亡くなった。77歳だった。敗血症だったそうだ。個人的には特に井上堯之の音楽に心酔したという覚えはないが、好きだったことは確かだ。井上堯之バンドとして沢田研二のバックを務めていた頃の姿が思い出される。謹んでご冥福をお祈りします。今夜は彼を偲んでPYGを聴こう。
May 8, 2018
夢で逢えたら/シリア・ポール
3月に発売された「夢で逢えたらVOX」、CD2枚組のものを購入した。久しぶりに聴いたな、シリア・ポールの「夢で逢えたら」。当時から大好きだったのだが、当時のLPも買いそびれ、リイシューCDも買い逃し、ようやく念願かなっての音盤入手というわけだ。やっぱりいいよね、シリア・ポールの「夢で逢えたら」。吉田美奈子のヴァージョンもいいのだけれど、やっぱりこの曲はシリア・ポールでなくちゃいけない。
April 30, 2018
Sensational Sweet (Chapter One: The Wild Bunch)
2017年の秋に「Sensational Sweet (Chapter One: The Wild Bunch)」なる箱モノが発売されたのはご存知だろうか(輸入盤だけど)。1971年の「Funny How Sweet Co-Co Can Be」から1978年の「Level Headed」までのオリジナルアルバムに加えてシングル音源集、1973年のレインボー・シアターのライヴ音源、BBC音源集など、CD9枚組。Sweet好きなら必携の箱だぞ。Sweetのアルバムは2016年にリマスター&紙ジャケで発売されたときに購入を見送ったんだが、この箱のお陰で初期の音源は存分に聴ける。嬉しい限りだ。“Sweetは大好きなんだが、ベスト盤くらいしかもってない”という同好の諸氏よ、この箱はお勧めだぞ。お値段もリーズナブルだ。
March 26, 2018
Montrose
昨年(2017年)、Montroseの「Montrose」と「Paper Money」がRhinoからリイシューされたのはご存知だろうか。双方とも、2017年リマスターのオリジナルアルバムと未発表ライヴ音源との2枚組だ。購入しておいたものの、“ハードロックの気分”じゃなかったので、しばらくそのままになっていたのだけれど、ようやくデータ化して、このところよく聴いている。オリジナルアルバムのリマスターはともかく、何と言ってもKSAN Radio Sessionの音源がいい。「Roll Over Beethoven」とか「Trouble」なんかもやってる。12分近い演奏時間の「Space Station #5」なんてのもある。それにしても、「Montrose」と「Paper Money」は日本で最初のCD化のときのディスクと、2011年のRhino盤と、今回と、それぞれ3枚あるぞ。
March 4, 2018
Emotional Tattoos / Premiata Forneria Marconi
昨年の秋に発売されたPFMのニューアルバムだ。年末に購入して、ときどき聴いている。これが、悪くない。悪くないのだよ。いや、なかなかいいと言ってもいい。PFMとは言っても、現在はマウロ・パガーニももちろんいないし、フラヴィオ・プレーモリもフランコ・ムッシーダもいない。「幻の映像」や「甦る世界」の頃のメンバーで残っているのはフランツ・ディ・チョッチョとパトリック・ジヴァスだけ。マウロ・パガーニのバイオリンとフルート、フラヴィオ・プレーモリのシンセが好きだった立場としては複雑なんだが、でも、この新作、いいのだよ。もちろん、“あの頃”のような尖った音楽ではなくて、安定していてゆったりと聴ける音楽だというのは時代性なんだろう。でも、いいのだよ。同好の諸氏よ。聴いてみる価値はあるぞ。アルバムはEnglish versionとItalian versionの2枚組。English versionをPCに取り込んだ後、Italian versionも取り込もうとしたら、「すでに取り込み済み」的に取り込めず、ちょっと苦労した。それはさておき、English versionとItalian version、両方それぞれいいが、個人的にはItalian versionの方が好みかな。
February 6, 2018
Starcrawler
昨年発売されたStarcrawlerのデビューアルバムがいい。Starcrawlerは4人組のバンドで、2015年にLAで結成されたそうだ。紅一点のアロウ・デ・ワイルドは、あのオータム・デ・ワイルドの娘らしい。エルトン・ジョンやマイ・ケミカル・ロマンスのジェラルド・ウェイが彼らを絶賛しているとかと、いろいろとかまびすしいが、それはともかく、とにかく彼らのヴォーカルと演奏の魅力はすごい。ロックン・ロールの根源的な初期衝動を持ちつつも、ドラマティックな演出性も感じさせて引き込まれる。比較対象にパティ・スミスやストゥージスの名が挙げられたりもするが、無理のないところか。確かに、アロウの歌声はちょっとパティ・スミスを彷彿とさせるところもある。カリスマ性を持った歌声だ。楽曲の演奏時間が短いのもいい。いちばん長い曲でも4分くらいだ。冒頭の「Train」は1分半に満たない。この「Train」のイントロ、久しぶりに興奮したぞ。
January 8, 2018