幻想音楽夜話
Picks Log
ちょっと気になっている音楽やアーティストについて、あるいは気になった音楽シーンの話題について、「幻想音楽夜話」のトップページの「Picks」欄に短いコメントで気ままに記しています。このページはその「Picks」欄の過去ログです。「Picks」欄の過去ログは年毎にまとめてあります。メニューから表示ページを選択して下さい。最新のものは「幻想音楽夜話」トップページでどうぞ。
2021年個人的「今年のアルバム10選」
今年も個人的な一年の総括をやってみるが、夏にSpotifyを使い始めてからほとんどCDを購入しなくなったので、“購入したCDの中からベスト3を選ぶ”というのはやめて、“今年発表されたアルバムの中から”個人的に気に入ってよく聴いたアルバムを10枚、選んでみたい。順番はほぼ発表(CD発売、配信開始等)順、順位ではない。

「Nick Mason's Saucerful Of Secrets Live At The Roundhouse」
「Portas / Marisa Monte」
「It's None Of Your Business / Caravan」
「I Dreamed Of Electric Sheep / Premiata Forneria Marconi」
「SKYE」
「Liberte / The Doobie Brothers」
「Voyage / ABBA」
「No Nukes Concert 1979 / Bruce Springsteen」
「Turning To Crime / Deep Purple」
「Barn / Neil Young & Crazy Horse」

今年いちばん聴いたアルバムというと、何だろう。ABBAの「Voyage」か、Marisa Monteの「Portas」あたりだろうか。ABBAの「Voyage」は、“さすがはABBA”な出来映えで素晴らしかった。彼らの楽曲を聴いていると、不思議な高揚感に満たされる。マリーザ・モンチの久しぶりのスタジオ新作も素晴らしかった。歌声はますます円熟味を増して聞き惚れる。
Bruce Springsteenの「No Nukes Concert 1979」もよく聴いたし、Neil Young & Crazy Horseの「Barn」もよく聴いた。案外というと失礼だが、ディープ・パープルの「Turning To Crime」がなかなか良くて、けっこう聴いている。「Shapes of Things」とか「White Room」などは“いかにも”という感じで聴き応え充分だし、イアン・ギランの歌う「Dixie Chicken」なんかも面白いし、最後に収録されたメドレーの演奏が実に楽しくて素晴らしい。演奏している本人たちも楽しかったんじゃないだろうか。
CaravanやPFMの新作も発表されて、嬉しい一年だった。Pink Floyd関連のアルバムもいろいろ発表されて、「Momentary Lapse Of Reason」のリミックス&アップデイト版も良かったんだけれども、個人的には「Nick Mason's Saucerful Of Secrets Live At The Roundhouse」をよく聴いたな。
国内ものではやっぱり「SKYE」か。松任谷正隆に鈴木茂、小原礼、林立夫というメンバーのバンドの“デビュー作”なわけだが、素晴らしいバンド演奏が聴けた。円熟の味。
他にもSteely Danの「Northeast Corridor」のライヴとか「10選」から漏れたものもあるが、それらは次点ということにさせていただく。
December 27, 2021
Voyage / ABBA
まさか40年も経ってアバの新作を聴くことができるとは思っていなかった。本当に40年も経ったんだろうか、と思わせる出来映え。40年という歳月を意識させずに、「あぁ、The Visitorsの次のアルバムなのね」と思わせてくれる。70年代のアバを知らない若い人にはちょっと地味な音楽に聞こえてしまうかな。でも素晴らしいぞ。
November 7, 2021
Portas / Marisa Monte
マリーザ・モンチの10年ぶりのスタジオアルバム新作だ。CDの発売はまだだがSpotifyでの配信が始まっているので早速聴いた。相変わらず惚れ惚れする歌声だ。さらに円熟味が増したか。素晴らしいぞ。
October 24, 2021
Liberte / The Doobie Brothers
ドゥービー・ブラザースの新作アルバムだ。国内盤は10月29日発売のようだが、海外盤は10月1日に発売済みで、Spotifyにもラインアップされているので早速聴いている。彼らのキャリアももう50年、今でも現役で活動してくれているのが嬉しい。今回も彼ららしい音楽性で、聴き応え充分。この秋のドライヴミュージックのマストアイテムになりそうだ。
October 10, 2021
チャーリー・ワッツを悼む
チャーリー・ワッツが24日、亡くなった。80歳だった。1960年代後期から1970年代初期のストーンズが大好きだ。今夜はチャーリーを偲んでストーンズを聴こう。心からご冥福をお祈りします。
August 25, 2021
Spotifyを使い始めた
7月からSpotifyを使い始めた。もちろんPremiumだ。これまで「サブスク、どうなのよ」と静観していたのだが、使い始めたらやめられない。不満なところもないわけではないが、メリットの方が遥かに大きい。CDの購入数が激減する予感。
August 19, 2021
松本隆作詞活動50周年トリビュートアルバム「風街に連れてって!」
松本隆作詞活動50周年だそうだ。早いものだ。それを記念したトリビュートアルバムが「風街に連れてって!」だ。「風をあつめて」から「風の谷のナウシカ」まで、1970年代から1980年代初期にかけての楽曲11曲をさまざまなシンガーたちがカヴァーしている。すでに7月14日にCDが発売され、デジタル配信も開始されている。幾田りらの歌う「SWEET MEMORIES」やB'zの歌う「セクシャルバイオレットNo.1」に注目が集まっているようだが、個人的にはその2曲に加えて、吉岡聖恵による「夏色のおもいで」や横山剣による「ルビーの指環」も気に入っている。そして意外にも(と言っては失礼だが)Little Glee MonsterのMAYU、manaka、アサヒによる「風をあつめて」がなかなかいい。そもそもの楽曲がいいから誰が歌っても良い仕上がりになるというのは間違いで、良い楽曲だからこそカヴァーするシンガーの力量が問われる。参加したシンガーたちの歌唱はどれも素晴らしい。原曲の好きな人も一度は聞いてみるべき。
July 21, 2021
ユニバーサル「ブラジルが生んだ秘蔵の名盤〈’50s〜’00s〉」マリーザ・モンチ発売中止
ユニバーサルの「ブラジルが生んだ秘蔵の名盤〈’50s〜’00s〉」だが、マリーザ・モンチの作品は発売中止になってしまったようだ。残念だが仕方ない。
July 18, 2021
ユニバーサル「ブラジルが生んだ秘蔵の名盤〈’50s〜’00s〉」
ユニバーサルの有する音源の中から今度は「ブラジルが生んだ秘蔵の名盤〈’50s〜’00s〉」と銘打ったシリーズがリイシューだ。およそ半世紀の歴史の中から選んであるのでバラエティに富んでいるが、個人的にはマリーザ・モンチの諸作がリイシューされることだ。大人買いだな。7月21日発売だ。同好の諸氏は注目されたし。
May 20, 2021
ユニバーサル「ロック黄金時代の隠れた名盤 <1965-1975編>」
ユニバーサルの有する音源の中から「ロック黄金時代の隠れた名盤 <1965-1975編>」と銘打ったシリーズがリイシュー、4月28日に発売されている。“隠れた名盤”というだけあって、なかなかリイシューされなかった作品も含まれている。できれば発売されたすべてのタイトルを購入してしまいたいところだが、そうもいかないので、Richard BettsやらNitty Gritty Dirt Band、Sandy Denny、Nils Lofgrenといった、これまで買いそびれていたものを購入した。“初めて聴く”というものはほとんどないのだが、じっくり腰を据えて聴いていくのが楽しみだ。税抜1000円という価格も嬉しかったぞ。
May 20, 2021
みんなのうた60フェス
NHKで5月8日夜に放送された「みんなのうた60フェス」がけっこう楽しめた。「おお牧場はみどり」とか「ちいさい秋みつけた」などは、“これも「みんなのうた」だったのか”という小さな驚きがあって楽しかった。平原綾香が歌った「メトロポリタン美術館」も良かったが、白眉は財津和夫本人による「切手のないおくりもの」だったな。
May 9, 2021
ラスティ・ヤングを悼む
ラスティ・ヤングが4月14日、亡くなった。心臓発作だそうだ。享年75。ラスティ・ヤングはポコの結成時からのオリジナル・メンバーで、スティール・ギターの名手として知られる。1970年代半ば以降はポール・コットンとともにグループを支え、曲作りにも貢献していた。名曲「Crazy Love」は彼の書いた曲だ。彼を偲んで「Legend」を聴こう。心からご冥福をお祈りします。
April 19, 2021
和田アキラを悼む
和田アキラが3月28日、敗血症による多臓器不全のため亡くなった。享年64。かねてから病気療養中だったという。プリズムのファースト・アルバムを初めて聴いたときの衝撃は忘れられない。素晴らしい音楽だった。松岡直也のグループでの数々の名演も忘れられない。和田アキラのギタープレイが大好きだった。彼を偲んでプリズムを聴こう。「Out & About」を聴こう。「Love Islands」も聴こう。ご冥福をお祈りします。
April 4, 2021
村上“ポンタ”秀一を悼む
3月9日、村上“ポンタ”秀一が視床出血のため亡くなった。70歳だった。村上“ポンタ”秀一は日本のポップ/ジャズシーンを代表する名ドラマーのひとりだ。リーダー作はほとんどなかったが、山下達郎やユーミンをはじめ、数々のミュージシャンのバックを支えてきた。素晴らしいミュージシャンだった。彼を偲んで、1978年発表の名セッション「Tokyo Fusion Night」を聴こう。心からご冥福をお祈りします。
March 17, 2021
チック・コリアを悼む
チック・コリアが亡くなった。2月9日に癌で亡くなったことが公式SNSで発表された。享年79。「Return to Forever」を初めて聴いたときの衝撃は忘れられない。「Return to Forever」も「Crystal Silence」も「What Game Shall We Play Today」も「Sometime Ago - La Fiesta」も未だに色褪せない。聴く度に新鮮な感動がある。あれからずっと彼のファンだ。Return to Forever名義で発表された「Hymn of the Seventh Galaxy」や「Romantic Warrior」等々、Chick Corea Elektric BandやChick Corea Akoustic Bandの諸作、ゲイリー・バートンとのデュオでの「Crystal Silence」や「In Concert, Zürich」、そしてソロによる数々の作品群、すべて大好きな作品だ。もう彼の新作を聴くことはできない。まさに“巨星墜つ”。今夜は彼を偲んで「Return to Forever」を聴こう。「Where Have I Known You Before」も「Paint The World」も「Expressions」も聴こう。謹んでご冥福をお祈りします。
February 12, 2021
Nick Mason's Saucerful Of Secrets Live At The Roundhouse
グループ名を見れば一目瞭然だが、ニック・メイソンがピンク・フロイドのツアーメンバーらを集めてピンク・フロイドの初期の曲を演奏しようというプロジェクトだ。ニック・メイソンの趣味的なバンドのようにも思えるが、これがなかなか素晴らしいのだ。ピンク・フロイドのサウンドの要はニック・メイソンだったんだなということを再認識させられる演奏だ。ピンク・フロイドのファンなら絶対に聴くべし(と言うか、すでに聴いてるよね)。
February 12, 2021
ずっと真夜中でいいのに。
1月30日のNHK「SONGS」はずっと真夜中でいいのに。だったぞ。知らない方のために補足しておくと、「ずっと真夜中でいいのに。」というアーティスト名だ。実質は楽曲を書いて歌っている「ACAね」を中心に、他のメンバーは流動的なユニットだ。2018年にデビューしてから一部で話題だったが、ついにNHK「SONGS」に登場だ。しかもスタジオ・ライヴだ(でもやっぱりACAねの顔は出ないのね)。ACAねの言葉の使い方はちょっとすごいぞ。下世話と高尚との隙間を縫うようなメロディもたまらない。「SONGS」では川谷絵音や志尊淳といった人たちが、ずっと真夜中でいいのに。の魅力について“分析”していたが、分析したところではじまらない。好きな人はハマるだろうし、そうでない人には良さがまったくわからない。ま、どんな音楽もそうだけど。
January 31, 2021
The Doobie Brohers Live From The Beacon Theatre
ドゥービー・ブラザースのビーコン・シアター・ライヴを昨年暮れに購入して、よく聴いている。2018年に行われたコンサートのライヴ音源で、2019年に発売されていたものだ。ドゥービー・ブラザースのメンバーはパット・シモンズとトム・ジョンストン、ジョン・マクフィーの3人、そこにビル・ペインらのサポートが加わっている。個人的にはパット・シモンズとトム・ジョンストン、ジョン・マクフィーの3人がまさにドゥービー・ブラザースなので、演奏はドゥービー・ブラザースそのものと言っていい。セカンド・アルバムの「Toulouse Street」とサード・アルバムの「The Captain And Me」の収録曲を収録順に演奏するというセットリストも面白い。同窓会的雰囲気も感じないわけではないが、パフォーマンスは現役で素晴らしい。ファンは聴くべき。
January 24, 2021
フィル・スペクターを悼む
フィル・スペクターが16日、カリフォルニア州の刑務医療施設で亡くなった。81歳だった。2003年に女優のラナ・クラークソンを射殺した容疑で逮捕され、2009年に殺人罪で懲役19年の判決を受けて収監されていた。それはそれとして、フィル・スペクターと言えば「ウォール・オヴ・サウンド」だ。その録音技法が構成に与えた影響は計り知れない。日本でも大滝詠一や山下達郎らが「ウォール・オヴ・サウンド」の技法を取り入れて作品を発表したことは説明するまでもない。個人的には加藤和彦が手がけた岡崎友紀の「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」も忘れられない。最近ではザ・ペン・フレンド・クラブやSOLEILの作品群も素晴らしかった。今夜は彼の残した功績に敬意を表してロネッツを聴こう。ご冥福をお祈りします。
January 20, 2021
Eagles Live From The Forum MMXVIII
イーグルスの「Live From The Forum MMXVIII」をよく聴いている。2018年にロサンゼルスのザ・フォーラムで行ったライヴで、昨年(2020年)10月に発売されたものだ。イーグルスのメンバーはドン・ヘンリー、ジョー・ウォルシュ、ティモシー・B・シュミットに加え、カントリー・ミュージシャンのヴィンス・ギル、さらにグレン・フライの息子のディーコン・フライの5人。今やオリジナルメンバーはドン・ヘンリーだけになってしまった。個人的にはグレン・フライが好きだったから、このラインナップのイーグルスのライヴにはそれほど期待していなかったのだが、“どんなもんだろ”という興味もあった。良かった。いいコンサートだ。現在のイーグルスによる70年代イーグルスへのトリビュート的にも聞こえてしまうが、ドン・ヘンリーに加えて、かつてイーグルスに籍を置いていたジョー・ウォルシュとティモシー・B・シュミットもいるから、演奏はイーグルスそのものだ。それに加えて、ヴィンス・ギルが良い仕事してます。
January 14, 2021
第71回NHK紅白歌合戦
昨年の紅白歌合戦は無観客開催ということで例年とはずいぶん様子が違っていたが、個人的にはこれはこれで良かったのではないかと思ってしまった。勝敗は紅組の圧勝だったが、それも無理のないことのように思えた。個人的にも出場歌手の中で出演を楽しみにしていたのは紅組出場歌手、要するに女性シンガーたちだった。miletやBABYMETAL、JUJU、YOASOBI、あいみょんといった人たちはぜひ見たいと思っていた。期待通り、皆素晴らしかった。中でもYOASOBIのikuraの歌声が素晴らしかった。ikuraのヴォーカリストとしての、シンガーとしての素質が垣間見えた気がした。JUJUは少し力が入りすぎていたかな。でも良かった。miletも良かった。この人の歌声が大好きだ。今年も活躍を期待しています。
January 5, 2021