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横浜市中区山手町
山手西洋館
世界のクリスマス2005
Visited in December 2005
山手西洋館世界のクリスマス
横浜山手の西洋館を会場にして開催される「世界のクリスマス」の展示も12月の恒例行事になったようだ。各館がそれぞれの国のクリスマスを演出し、さまざまに趣向を凝らした飾り付けを行っており、ひとつひとつ見てゆくのはとても楽しい。開催期間は12月1日から25日まで、今年は山手公園内の旧山手68番館(現クラブハウス)と岩崎ミュージアムも会場になるらしい。始まったばかりの12月初旬、早速「山手西洋館 世界のクリスマス」へと出かけた。
横浜市イギリス館」で行われるのは、当然のことながら「イギリスのクリスマス」だ。一階フロアにはピアノが置かれ、コンサートが催されるようで、展示は二階フロアを用いて行われている。「名探偵シャーロック・ホームズとアンティークなクリスマス」というサブタイトルが付けられており、シャーロック・ホームズの活躍した19世紀をテーマにした展示だという。だから「アンティークなクリスマス」というわけだ。「古き佳き英国」という印象の美しい装飾が随所に施され、なかなか見応えがある。クリスマスの飾り付けだけでなく、シャーロック・ホームズ関連の展示も行われており、興味が尽きない。
横浜市イギリス館「イギリスのクリスマス」横浜市イギリス館「イギリスのクリスマス」
横浜市イギリス館「イギリスのクリスマス」横浜市イギリス館「イギリスのクリスマス」
横浜市イギリス館「イギリスのクリスマス」横浜市イギリス館「イギリスのクリスマス」
山手111番館」では「スウェーデンのクリスマス」の展示が行われている。スウェーデンはクリスタル・グラス製品が有名ということで、クリスタルを用いた飾り付けをメインにした展示が行われており、「聖夜に煌めく北欧モダンクリスマス」というタイトルが付けられている。中央の吹き抜けのホールにはクリスタルのオーナメントで飾られた大きなクリスマスツリーが置かれ、ひときわ目を引く。クリスタル製品が多用されたテーブルセッティングもたいへんに美しい。奧の部屋では伝統的なクリスマスの飾り付けも行われており、対照的な味わいで楽しめる。
山手111番館「スウェーデンのクリスマス」山手111番館「スウェーデンのクリスマス」
山手111番館「スウェーデンのクリスマス」山手111番館「スウェーデンのクリスマス」
山手111番館「スウェーデンのクリスマス」山手111番館「スウェーデンのクリスマス」
山手234番館」は「アメリカのクリスマス」だが、「McLaren family's Christmas in 1957」というテーマで、1957年頃に山手234番館に住んでいたマクラレン家のクリスマスを再現したものという。家庭的な雰囲気の漂う、暖かみのある飾り付けだ。一階フロアの一室を用いての展示だが、なかなか印象深い。
山手234番館「アメリカのクリスマス」山手234番館「アメリカのクリスマス」
エリスマン邸」は「チェコのクリスマス」だ。エリスマン邸では昨年も「チェコのクリスマス」だったようだが、エリスマン邸を設計したアントニン・レーモンドがチェコの生まれだからだろう。「アールデコとキュビズムのクリスマス」というテーマの展示は単なるクリスマスの飾り付けというよりアート作品と呼ぶに相応しい。
エリスマン邸「チェコのクリスマス」エリスマン邸「チェコのクリスマス」
エリスマン邸「チェコのクリスマス」エリスマン邸「チェコのクリスマス」
ベーリックホール」の展示は「ノルウェーのクリスマス」だ。「ニッセの国のクリスマス」とのサブタイトルが付けられている。「ニッセ」というのは北欧の民話に語られる小人の妖精のことで、家の屋根裏などに住み着き、その家を護ってくれるという。どこか東北地方の「座敷わらし」を思わせるところがある。このニッセが年老いると白い髭を蓄え、赤い頭巾をかぶった姿が一般的な「サンタクロース」のイメージに近くなるらしい。これがキリスト教文化と融合して「サンタクロース」になったもののようだ。ベーリックホールの展示はそのような国のクリスマスをイメージして飾り付けられている。また館内にはノルウェーの伝統工芸である「絵織物」の作品も展示されており、これもなかなか見応えのあるものだ。
ベーリックホール「ノルウェーのクリスマス」ベーリックホール「ノルウェーのクリスマス」
ベーリックホール「ノルウェーのクリスマス」ベーリックホール「ノルウェーのクリスマス」
ベーリックホール「ノルウェーのクリスマス」ベーリックホール「ノルウェーのクリスマス」
山手公園内の旧山手68番館(現在はテニスクラブのクラブハウスとして使われている)では「フランスのクリスマス」の展示が行われている。12世紀頃のフランスで行われていた「ジュ・ド・ボーム」という遊びがテニスのルーツだとも言われており、日本に於けるテニス発祥の地である山手公園内で「フランスのクリスマス」の展示を行うのはそのあたりの関連からだろうか。クラブハウス内での展示だからそれほど大規模なものではないが、フランス人アーティストが手がけたという飾り付けはアート感覚に溢れたもので、特に天井から下げられたオーナメントが外の光に輝く様子はとても美しい。
旧山手68番館「フランスのクリスマス」旧山手68番館「フランスのクリスマス」
外交官の家」は「松の香りのクリスマス」ということで、「カナダのクリスマス」の展示が行われている。カナダと言えば美しい山々に囲まれて森林と湖の広がる大地というイメージがあるが、まさにそうしたイメージを象徴した飾り付けが行われている。松の枝やまつぼっくりを使用した飾り付けは、他の洋館の飾り付けと比べれば地味なほどに簡素だが、清涼感の漂う静謐な印象が素敵だ。
外交官の家「カナダのクリスマス」外交官の家「カナダのクリスマス」
外交官の家「カナダのクリスマス」外交官の家「カナダのクリスマス」
ブラフ18番館」は「スイスのクリスマス」だ。緑、白、青を基調とした色彩で、「おごそかな雰囲気」を演出した飾り付けだという。館内の各部屋、廊下に至るまで随所にさまざまな装飾が施され、見ていてたいへんに楽しい。スイスというとアルプスの山々に抱かれた美しい国という印象だが、このクリスマスの飾り付けもそうしたスイスの風景を彷彿とさせるようなイメージだ。
ブラフ18番館「スイスのクリスマス」ブラフ18番館「スイスのクリスマス」
ブラフ18番館「スイスのクリスマス」ブラフ18番館「スイスのクリスマス」
ブラフ18番館「スイスのクリスマス」ブラフ18番館「スイスのクリスマス」
山手西洋館世界のクリスマス
各館の展示はそれぞれに規模の大小はあるが、アート感覚溢れるオブジェのような展示物や、家庭的な雰囲気の飾り付けなど、それぞれに味わいがあって見応えがある。各館それぞれに趣向を凝らしたクリスマスツリーが飾られているから、それらを見比べてみるのも一興だ。装飾に使われる小さなオーナメントに眼を凝らすのも楽しい。「ブラフ18番館」や「ベーリックホール」など、いくつかの洋館では「横浜人形の家」の人形も飾られているので、これらも丹念に見てゆくとさらに楽しめる。今年は岩崎ミュージアムも「日本のクリスマス」として参加しており、絵画や工芸など、日本の作家によるクリスマスをテーマにした展覧会が開催されている。興味のある人はこれも見ておくとよいだろう。

各館の受付で「山手西洋館 世界のクリスマス2005」の案内パンフレットが用意されているので、最初に貰っておくとよい。各館ではそれぞれにコンサートなども開催されるようだ。それらの予定を調べて訪ねるとさらに楽しめるかもしれない。喫茶室を併設している洋館もあるから、散策途中の一休みに利用するのもいい。ほとんどの洋館は靴を脱いで入館しなくてはならない。訪れるときは脱ぎ履きのしやすい靴を履いてゆくことをお勧めする。
山手西洋館世界のクリスマス